アメリカ版「たられば」ドラマ~『ラ・ラ・ランド』

ラ・ラ・ランド」を観た。

冒頭、まるでインド映画の「踊る」映画のようなハイテンションの集団ダンス。

だが、そこから後はパーソナルなスケールの世界に。

前半、「冬」から「春」になり、いよいよ2人が付き合うようになったところで幕間へというあたり、伝統的なミュージカルの様式美があった。

後半、「夏」から「秋」へはその2人がどんどん内省的になってきて、自分の夢を追求しながらも、お互いを想う心は失わない。

ただお互いの人生のリズムというかタイミングが合わず…最後にズシンと来る展開。

「戻れない」大人にはなかなか苦い味わいだった。

「たられば」というか、「仮定法過去」的な回想は、もしかしたら、夢を見せてくれる「映画の世界」ではそっちの方が王道シナリオなのかもしれない。

でも、あえてそうしなかったのは、監督の「夢も恋も…なんて御都合主義だろ」というメッセージかなと理解。でも、完全にすれ違うことなく、一曲のピアノ演奏で、お互いに理解し合えるあたりは、ある種ロマンチックではあるけどね。

音楽は聴きどころ満載だし、ミュージカル要素も多めなので、もう一回観たい気持ちはある。ピアノとジャズと ライアン・ゴズリングという組み合わせも美しい過ぎた。

ただ、これは完全に僕の好みなんだけど、エマ・ストーンの演技は鼻に付くというか、なんか悪い感じで引っかかるんだよね。