東京オペラシティ4階ICCで開催している「ライゾマティクス inspired by Perfume」に行った。 昨日の『MJ presents Perfume×Technology』で紹介されていたせいか、会場は幅広い年齢層で賑わう。今回の展示は以下の5点。
- 「Physicalizing Data by Rhizomatiks」
- 「Spring of Life」
- 「Perfume "Global Site Project」
- 「Perfume WORLD TOUR 2nd intro」
- 「3D Scan System for Perfume」
最初の「Physicalizing Data by Rhizomatiks」はTOKYO DESIGNERS WEEK2012出展されたホログラフィック映像。リアルとヴァーチャルの境界に浮遊するようなPerfumeというアーティストの存在を具現化したような作品。こういうテクノロジーが発達すれば、初音ミクのライブのように、たとえ本人が存在しなくても、コンサートが成立してしまうのではないかと感じた。
続いて、「Spring of Life」のMVが流れるモニターを脇を抜けると、Perfumeが使用した「電気仕掛けの衣装」3セット×3人の9着が展示されている。「Spring of Life」のMVにはストーリーがあって、ヒューマノイドとして作られた彼女達がさまざまな機器とのネットワーキングを通じて「ハート」を獲得するに至るというもの。この世界観に合わせて製作されているメカ的なコスチュームが、最初はコードがバキバキについているが、技術の小型化・高性能化のプロセスを経て、最終形態(紅白歌合戦バージョン)では、ほとんど人間の衣装にしか見えなくなっているのが興味深い。テクノロジーという観点だけでなく、日本の現代ファッションデザインの一つとしても秀逸。
「Perfume "Global Site Project」は、Perfumeのヨーロッパツアーに合わせて実現したプロジェクト。ステージの彼女達のコスチュームに投影するデザインを、アーティスト、クリエイター、ファンが提供。幾何学模様であったり、日本の国旗をモチーフにしたものであったり、アニメキャラクターであったり。正直言って、レベルはまちまちであったが、先鋭的なセンスから優れた作品を生み出すためには、テクノロジーに加えて、オープンなアーキテクチャこそが不可欠であると思わされる。
さて、「Perfume WORLD TOUR 2nd intro」は、そういうデザインをいかにしてコスチューム上に投影するかというテクノロジーを具体的に示している。東京駅舎の利用でも有名になった「プロジェクション・マッピング」だが、動かない建造物ではなく、激しくダンスするPerfumeに合わせることは、相当のトラッキング技術が必要であろうことは想像に難くない。今回の会場には残念ながら動かないマネキンしかないが、中田ヤスタカの楽曲の展開に合わせて、万華鏡のように繰り出されるアートワークは、間違いなく「クールジャパン」の最高峰がこの地点にあると思わされる。
最後は体験型のアート。「3D Scan System for Perfume」は、Perfumeのメンバーの3Dデータ取得のシステムを簡易にしたものを体験できる。3点設置されたセンサーの中央に立ってスキャンを受ければ、自分のポーズがそのままCGにデータとして取り込まれ、スクリーンに大きく映し出される。これはちょっと感動。無難なポーズよりは、片足を上げたり、上体を傾けたりというポージングの方がテクノロジーの優秀さを味わえる。ちなみにこのデータはその場でCG化されるだけではなく、「Spring of Life」展示ブース入り口付近のモニターに「コレクション」される。お見逃しなきよう。
ということで、爆音で流れる「Spending all my time」とシンクロしたプロジェクション・マッピングを鑑賞していると、来るPerfumeの東京ドーム公演を見に行きたくなる。「TV→展覧会→コンサート」という流れを作る壮大なマーケティング、なのかもしれない。
(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYMPUS XZ-1)