3ありきの2―『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』

ヒットした映画は続編が作られ、シリーズ化される。これが商業の論理だ。ある種の法則といってもよい。そして、2、3と続編が作られるほどつまらなくなる傾向がある。これもある種の法則といってもよい。もちろん例外はあるが。で、パイレーツオブカリビアンはどうか。

結論から言えば、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(以下2)は『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(以下3)へのつなぎという位置にある。バックトゥザフューチャーにおいて2が独自の見せ場を持ちつつも、最後まで見ると3への予告編にしか見えないのと同じように、2はストーリーとして完結していない。あくまでつなぎである。

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(以下1)で主人公は宿敵を倒し、ヒロインは冒険を経て真実の愛を見つけた。2では、さらに強い敵が現れ、ヒロインにも新たな苦難が待ち受ける。さらに強い敵との決着も付かず、新たな苦難を打破する道も見えないままに、主要な人物達は試練の中で宙吊りになったまま、エンドロールを迎える。そして、エンドロールが終わると3の予告が始まる。これが商業の論理。来週もまた見てくださいね、ンガココ。あるいは。この次も、サービス、サービスゥ!

娯楽作品としてみれば、映像は美しく、CGや特殊メイクは丁寧で破綻なく、カット割や演出もテンポよい。ディズニーならではの良質な2時間30分のエンタテインメントを楽しめる。

この作品の俳優について語っていなかったので、少々コメントを。

ジョニー・デップは、カルト作品にばかり出ていたのがまるで嘘のように、ジャック・スパロウ船長というハマり役を得た。ややコスプレ色・キャラクター色が強く、ジョニー・デップの役者としての深みのある演技を味わうことができないのは残念ではあるが。

キーラ・ナイトレイは単なる美形ではなく、男勝りの強さを見せつける演技。あの時代のイギリスにこんなに先進的な女性がいたとは信じがたいけれども。しかも提督の娘で。このシリーズではコルセット付のドレスから始まり、チャイナ服までさまざま衣装を纏っているが、どれも見事に着こなしている。だが、一番萌えたのは、男装だ。あくまで個人的な感想だけど。

オーランド・ブルームはどの角度から見てもうっとりするほど美しく、『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスを彷彿とさせる戦士っぷり。だが、ジョニー・デップの癖のある演技と、キーラ・ナイトレイの圧倒的な強さの陰に隠れてしまいがちなのが惜しい。

ああ、どうでもいいことしか書けなかった。次の「3」については、もうちょっとまともなことを書こう。