上海万博ソングは岡本真夜+福山雅治

上海万博の実行委員会が岡本真夜の「そのままの君でいて」(1997年)の楽曲申請をした。PVに赤いシトロエン2CVが出てくるあの名曲だ。

確かに上海万博PR曲の「2010 等你来」は「そのままの君でいて」に良く似ているが、サビについては決定的な違いがある。それは、前者がサビのフレーズの2回目が2度下でマイナーになるのに対して、後者は同じ音階で2回繰り返しているところだ。聞き比べると「そのままの君でいて」の繰り返しがやや単調に感じるのに対して、上海万博の方はなんとなく深みがあるように聞こえる。ここだけは中国のオリジナリティと言えるのか。

いや、そうではない。この「フレーズを2度下のマイナーで繰り返す」のにも元ネタはあった。福山雅治の「SQUALL」(1999年)だ。問題のサビの部分だけを取れば、むしろ「そのままの君でいて」よりもこちらの方が似ている。いずれにしても10年以上前のJ-POPであることには違いないのだけれど。時系列的には「岡本真夜(1997年)→福山雅治(1999年)→上海万博ソング(2010年)」となる。この「SQUALL」という曲も「そのままの君でいて」のヒットを踏まえて生み出されたように思われる。この曲が当初女性シンガー(松本英子)に提供されたことを思えばなおさらだ。

器用でセンスのよい福山雅治のことなので、このようなインスパイアは大いにありうることだ。曲を通じた印象は割りと別のものになっている。上手く換骨奪胎しているというべきか。この福山雅治の絶妙の換骨奪胎がなければ、今回の上海万博ソングが生まれることもなかったかもしれない。いや、フレーズ自体、Jackson5の「I'll be there」(1970年)の歌い出しに似ているという説もあるが…(確かに2回目は2度下だし…)

岡本真夜:上海万博PR曲に盗作された疑いの「そのままの君でいて」が正式決定

岡本真夜さん シンガー・ソングライター岡本真夜さん(36)は19日、所属事務所「noi」を通じ、5月1日に開幕する「上海万博」の「実行委員会」から、ヒット曲「そのままの君でいて」(97年)の楽曲使用申請があり、これを受諾したと発表した。岡本さんは「世界中が注目するイベントである上海万博に協力させていただける機会をいただき、とてもステキなお話で光栄です。今後も一音楽家として頑張っていきますので、よろしくお願いいたします」とコメントした。
毎日jp(毎日新聞)

今回の騒動をきっかけにして中国でも著作権が重視されるようになるのだろうか。