スタニスワフ・レムの『完全な真空』を読了。
- 作者: スタニスワフ・レム,沼野充義
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1989/12
- メディア: 単行本
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国書刊行会だが「レム・コレクション」ではなく「文学の冒険」シリーズ。トマス・ピンチョンやボルヘス等と並んで全15巻を成すうちの一つ。そう、あの、やたら「ポストモダン」という言葉が流行った頃の空気が感じられる
どの辺りがポストモダンかというと、「架空の本の書評」という体裁を取ったメタ文学というところ。内容的には、SFのパロディであったり、文学論であったり、宇宙論であったりと雑多。全体としては、レムのアイデアのほとばしりを「作品」ではなく「作品の書評」という形で効率よくまとめたという感じ。
レムの著書の中では「意欲的な実験作」と位置づけられているようだが、『ソラリス』や『砂漠の惑星』のような、SF長編の方が面白かった。