パトカーや救急車のサイレン、拡声器の割れるような声、断続的に鳴る警笛の音で目が覚めた。まだ暗いはずなのに、窓越しに見る外界は少しだけ白く光っている。窓を開けると雪。だが、雪の夜に特有な静かさは打ち壊されて、交通事故の後処理の騒音があるばかりだった。

雪。雪は僕を孤独な気持ちにさせる。体温を確かめたくなる。雪の兆しだけで、なんとなく人恋しい気持ちになる。東京では、めったに雪が降ることなどないのだけれど。