LEICAは嘘をつかない

LEICA X1の絵には個性がある。もちろんXシリーズはLEICAを代表するモデルではないが、それでもX1の絵作りにLEICAの哲学が表れているように思う。その哲学とは一言で言えば「嘘をつかない」ということだ。

このLEICAの特徴を見るには、FUJIFUILM X100あたりと比較すると良いのだろう。だが所持していないので、手持ちのコンデジのOLYMPUS XZ-1と比較してみる。もちろん、X1はAPS-CでXZ-1は1/1.63インチということでセンサーサイズも違うし、X1は換算36mmの単焦点でXZ-1はズームなので、本来はクラスが違うが、メーカーとしての思想を読み取ることができる。ともにjpeg撮って出し。

まずは、OLYMPUS XZ-1。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYNPUS XZ-1)

ハイライトは滲んでいて、ディテールは曖昧さが残る。だが、この光に溢れる温かい部屋の雰囲気を、うまい具合に強調しているように思える。いわば「美しい嘘」のある写真を生み出すのが、XZ-1の個性であると言える。

そして、LEICA X1

(PHOTO:シャープ、CAMERA:Leica X1

色の渋いのは何よりもLEICAの個性。だが、それ以上にハイライト、ディテールが残っているが目立つ。特にシャンデリアの灯り、ケースに入った食器などで顕著だ。肉眼で見ているときの印象よりもずっと多くの情報が残っている。客観的な事実の記録に徹していて、曖昧さはほとんどない。写し過ぎているという気もする。ある意味で、冷静で醒めている。「嘘をつかない」というのはそういう意味だ。

では、どちらが良いカメラだろうか。それは撮影者がどのような絵が欲しいかによる。雰囲気を捉えるのであればXZ-1の方が好ましいという意見もあるだろうし、より多くの情報を残したいのであればX1の方が好ましいということになるのではないか。要するに、カメラの優劣というのは、撮る人の目的による。

X1の個性は、たとえば次のような記録的なショットで顕著になる。繰り返しになるが、このような絵作りを好ましいと思うかどうかは、まさに使う人次第だと言える。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:Leica X1