続きが待ち遠しい―『シャーロック』シーズン2

BBCのドラマ『SHERLOCK/シャーロック』のシーズン2を視聴した。このシーズンは以下の3作品(各作品90分)。

「ベルグレービアの醜聞」"A Scandal in Belgravia"
「バスカヴィルの犬」"The Hounds of Baskerville"
「ライヘンバッハ・ヒーロー」"The Reichenbach Fall"

時代設定こそ現代に変更されていてオリジナルストーリーになっているが、タイトルを見るだけで、筋金入りのシャーロキアンでなくても「元ネタ」が想像できてしまうというものだ。

「ベルグレービアの醜聞」は、英国王室のスキャンダルに絡んで「あの女」ことアイリーン・アドラーが登場し、彼女とホームズの絶妙な駆け引き描かれる。王室の描き方といい、アイリーンのセクシーさといい、BBCの表現の範囲は日本の公共放送よりも相当に大胆な気がする。それでいて品位を失っていないのが立派。

「バスカヴィルの犬」は、人を襲うという魔犬の謎に迫るうちに、ホームズやワトスンの身にも危険が及び…というある意味原作通りの展開。だが、魔犬の正体はとても現代的なものになっている、かもしれない。これ以上書くとネタバレになるので止めておくが、この辺の原作リスペクトと現代的なアレンジの調合が実に絶妙だと思う。

最後の「ライヘンバッハ・ヒーロー」のライヘンバッハは、原作でホームズと宿敵モリアーティが一緒に墜落した場所として有名。その通り、モリアーティとの息詰まる決戦が見どころ。まるで天才同士のチェスの名勝負のように、相手の行動を先読みした頭脳戦が繰り広げられる。常識人のワトソンと並べると、やはりホームズは「異常な天才」であり、この点でモリアーティと似ているところもあるといわざるを得ない。まるでバットマンとジョーカーのように。

原作ではホームズとモリアーティは格闘するうちに、ライヘンバッハの滝壺に落ちて相討ちとなった。これが『最後の事件』の結末である。だがその後、ホームズは『空き家の冒険』で復活し、ワトソンを歓喜させる。彼は滝壺に落ちる寸前に「バリツ」という武術でモリアーティを投げ飛ばしていたのだs。

さて、この『SHERLOCK/シャーロック』ではどうなるか。今後の展開から目を離せない。

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しかし、BDの値段が高過ぎる。こういう良作こそ廉価で普及するべきだと思う。角川書店には本当にこういう「マニアの足元を見る」ような商売をやめて欲しい。