ある種の到達点―『ToLOVEるダークネス』

週刊少年ジャンプで人気を博した『ToLOVEる』が、ジャンプSQに『ToLOVEるダークネス』として連載されているものの単行本化。

もともと画力には定評のある矢吹健太朗だが、この作品でも雑誌連載時から単行本版では大幅に加筆修正され、見応え十分。この人の絵は本当に上手いし、綺麗だし、丁寧。どんな場面であっても、キャラに対する愛情を感じるのがよい。

原作・長谷見沙貴の世界観もより奥行きを増した。タイトルの通り、『ToLOVEる』よりもダークなキャラクターが登場し、単なるラブコメではなく、「陽と陰」の対立構図を感じさせる緊張感をもったストーリーになっている。金色の闇でさえ、いまや陽に寄ったキャラクターに見えてしまうくらい。

続きを読みたくなる謎めいたストーリーと、何度でも読み返したくなる流麗な絵。この『ToLOVEるダークネス』は矢吹健太朗のある種の到達点だ。コレクションとして手元に置いておきたくなる。置き場所は選ぶかもしれないが。

これが普通の本屋で500円で買えてしまう(しかもシール付きで)というのはある意味脅威だ。と思ったら入手困難なのか。見つけたら買うべし、だな。

To LOVEる -とらぶる- ダークネス (1) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- ダークネス (1) (ジャンプコミックス)