同人時代もよい〜『つめたく、あまい。』

メジャーにはメジャーのよさがあり、同人には同人のよさがある。
シギサワカヤシギサワカヤBlog | 本家)の同人時代の作品の再録『つめたく、あまい。』は、最良の同人の魅力に満ちている。つまり、自分の好きなように好きなことを描いていることが分かるということだ。

つめたく、あまい。

つめたく、あまい。

同人作品をメジャー化するにあたり、この表紙はやりすぎ(商業主義的な意味で)。中身は、今と変わらないシギサワカヤ流の繊細な心理描写。そして、シリアスとギャグが交錯する筆致。ああ、これだけの作品を同人で描いていれば、出版社から声もかかるよね、という納得の出来。

一つ一つの作品は短いが、読後に余韻を残し、登場人物達の未来を案じてしまう。人間がきちんと描けていて、世界の中に確かに置かれているからなんだろう。そして、その世界の中での不安定な存在の仕方こそが、読者をひきつけるのだろう。

そんなわけで、僕の中のシギサワカヤブームはまだまだ終わりそうもない。