ジグゾーパズルの完成〜SW3

スターウォーズ エピソード3〜シスの復讐』(以下、SW3)は、ルーカスにとっても、観客にとっても、6つのエピソードから成るスターウォーズという壮大なドラマを完成させるための最後の数十ピースのパーツだ。だからエピソード3という作品の評価は単独で論じられるべきものではなく、SW6部作という巨大なジグソーパズルの中で、いかにすっきりと気持ち良く、「パチン」とはまるかどうか、というところでなされるべきだろう。

この点では、SW3は成功を収めていると思う。

(以下、映画的ネタバレを含みます)

いかにしてアナキンはダースベイダーとなったのか、いかにして共和国は崩壊して銀河帝国ができたのか、いかにしてジェダイは散り散りとなったのか、いかにしてルークとレイアは別れて育てられるようになったのかなど、シリーズの根幹に関わる重大な事件が明らかにされる。アミダラが出産直後に双子に名前をつける場面のように、思わず苦笑を禁じえないような説明的過ぎる部分もあったが、全体としては満足の行く仕上がりになっていたと思う。30年に及ぶシリーズの完結を実感させられ、単なる一鑑賞者でしかない私でさえ、ある種の「達成感」を得た気にさせられた。

映像的には、冒頭の議長救出のシーンから素晴らしいスペクタルだった。戦闘機でのファイト、ライトセイバーを抜いてからの殺陣などなど、もう見所満載。オビ=ワンとアナキンが、単なる師弟関係を超えて、百戦錬磨の「戦友」「兄弟」になっているという雰囲気がひしひしと伝わってくる。

半壊した宇宙船をアナキンが操縦して大気圏突入を試みる途中で、船体が前後真っ二つに割れてしまう。これに気付いたアナキンが、"We lost something.(何か落ちたぞ)"というと、オビ=ワンが"Not to worry."(心配ない)。こんなセリフは、操縦桿を握るアナキンの能力を信頼していなければ言えない。そして、なんとか不時着に成功した後のオビ=ワンのセリフもいい。"Another happy landing.(スムーズだったな)

この字幕のセンスはイマイチだけど、ともに修羅場を潜り抜けていくなかで信頼感が増していることを示す描写が心地よい。この映画での最大の見せ場である終盤の2人の対決と対比すると、一層感慨深いシーンだ。

しかし、このようにしてアナキンがジェダイとして功績を積み上げていくところに、まさにダークサイドへの転落という罠が用意されていた、というのがSW3のストーリーの中心である。マスターの称号を与えられない苛立ち、パドメへの愛、彼女を失うことへの不安(これは母親の死がトラウマになっているように思う)などのアナキンの心の隙間を、狡猾なパルパティーンに突かれてしまった。アナキンを演じたヘイデン・クリステンセンは、その辺の揺れ動きと、ダークサイドへの転落を見事に演じていたと思う。

と、まあ、見所はいろいろとあったが、個人的に最も印象に残ったのはパメラの葬送の場面。息を呑むほど美しかった。死者そのものの美しさにに惹かれるのか、死者の纏う衣装が目を引くのか、葬送という儀式の荘厳さに圧倒されるのか、よくわからないけれど、心から離れない。