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エンジニアは環境の夢を見る

クルマの世界ではようやく20世紀が終わりつつある。大量生産・大量消費(+多額のローン)のビジネスモデルを基盤としてきたアメリカの自動車産業は、いまやあの国で最大のお荷物となった。フォーディズムという単語はいまや古語の領域だし、「ビッグ・スリー」というニックネームはもはや皮肉以外の何者でもない。

日本のクルマ事情も変化が顕著だ。ホンダはF1を撤退し、ハイブリッド車・インサイトの販売を伸ばしている。アラフォーなバブル世代がF1撤退を嘆くあまり、「もし本田宗一郎が生きていたら」などと口走る。死者がどういうかは誰にも分からない。が、もし、本田宗一郎が生きていたら、と僕は考える。「これからは環境との共存が大事だ。そうでないと自動車そのものの存在が否定されてしまう。そしたらメーカーは終わりだ。エンジニアは、高速度を目指すばかりではない。低燃費をとことん追求するのもエンジニアだ。アメリカのメーカーが駄目になってたいま、環境に優しい技術を追求することがウチの道だ」など言うかもしれない。これはあくまで僕の妄想だけれども。

新しいインサイトは、スペック上の燃費を追求した前モデルとは違い、4ドア・5人乗りとした。要するに実用的なクルマに仕立ててきたのだ。これが売り上げの起爆剤となった。そしてトヨタのプリウスのマーケットを侵した。もちろんトヨタも黙っていない。一時期強気な値上げさえしたプリウスだが、状況の変化を見るや、今度のモデルチェンジ後も旧モデルを併売するだの、新モデルの最低価格を205万円にするだの、あげくの果てには「200万円を切る低価格ハイブリット車を開発する」と観測気球をぶち上げるだの、矢継ぎ早に手を打っている。まあ、僕にはひどい迷走にしか見えないけれども(末尾の記事参照)。

プリウスはとても良くできたクルマだ。だが、トヨタは、かつてない自社の業績の悪さもあいまって、インサイトの快走を見てあからさまに動揺している。ハイブリッド市場は21世紀の自動車産業の主戦場であり、いまのところはトヨタがトップを走っているが、そこにこのホンダの猛追だ。ホンダにとってサーキットでフェラーリに挑むよりもよほど得るものがあるだろう。それに、何よりも痛快だ。

トヨタ、200万円切る低価格ハイブリッド車を開発へ ホンダとの価格競争が本格化

トヨタ自動車がハイブリッド車の価格戦略に本格的に動き出した。
13日、同社が200万円を切る新型ハイブリッド車を開発し、2011年にも日本で発売すると、日本経済新聞が朝刊で報道したことで、株式市場でもトヨタ株が活況。午前10時すぎの時点で、前日比110円高の2930円を付けている。

トヨタは12日に09年5月に発売予定のハイブリッド車「プリウス」の新モデルの最低価格を、205万円程度とする方針を固めたと報じられたばかり。トヨタがプリウスの値下げに踏み切る背景には、ライバルとされるホンダ「インサイト」の販売が好調に推移していることがあるが、さらに別の低価格のハイブリッド車を開発することで価格競争に勢いをつける。

新型のハイブリッド車は、他車種との部品共通化などでコスト削減を進め、現行プリウス(最低価格233万1000円)や新型プリウス(同205万円)、またホンダが2月に発売したインサイト(同189万円)よりも低価格の実現を目指すという。

世界的に自動車の新車販売が低迷する中で、環境対応車の人気や関心の高さは業界でも数少ない明るい材料となっている。2月にインサイトを発売したホンダは燃費や環境性能に優れた車を比較的求めやすい値段で提供していく戦略を明言しており、トヨタとしては、プリウスで築いてきた環境に強いイメージを今後も維持していくために、価格競争でもホンダに遅れをとることは許されない。

またトヨタとホンダの価格競争によって、ハイブリッド車の価格帯が一般のガソリン車並みに近づいてきたことで、日産自動車など他社も低価格のハイブリッド車や電気自動車の開発ピッチを急ぐ必要が出てきた。
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