ついに10月

ついに10月になった


十分な準備ができているわけではない
全力疾走してきたら
10月になってしまった
いまはまだ来なくてもいい
10月に


環境が変わるときには
いつも
胸のときめくような期待と
かすかな不安の両方があると
ひとは言うけれど


不安だけを感じてしまう
そんなこともあることを
誰もが知っているのだろうか


今の全力疾走を終えて
この体の疲れも取れて
自分の時間を取り戻したとき


どんな昼を
僕は過ごすのだろう
何を見るのだろう
どの道を歩くのだろう
何を食べるのだろう
どんな言葉を語ろう


どんな夜を
僕は過ごすのだろう
何を目安に仕事を終えよう
どこを通って家に帰ろう
誰に電話しよう
どんな夢を見るのだろう


いままでと何も変わらなければ
僕の不安は全て消えるのだけど
そしてそこに君がいてくれたら
すごく素敵なことなのだけど


ついに10月になった
期待と不安と
どちらが大きいかなんて
訊くまでもないときがあることを
誰もが知っているのだろうか