こんな映画を見た。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2007/08/03
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結論から言えば、企画倒れ。十人の監督が一夜ずつ十の夢で短編を撮ったもの。出来栄えは十人十色というよりもまさに玉石混交で、全体を束ねるものが欠如しているがゆえに、駄作となってしまった。
『夢十夜』は漱石らしく理知的でありながらも、夢特有の不合理さを孕んだ作品なのだが、映画になるとどうにも「理」が勝ちすぎたり、あるいは無理に「非現実」にしてみたりと、どうにもいけない。
全十夜の中で個人的に一番しっくりときたのは市川崑の「第二夜」。モノクロで音声のないのがいかにも「夢」だ。不条理でいながらもどこかで世界の核心に迫るような原作に忠実な雰囲気もいい。あと気に入ったのは松尾スズキの「第六夜」。実に2ちゃん的な漱石解釈ktkr、で楽しめた。他はキャスティングや演出や特殊効果等でいずれもどこかしら決定的に許容できないところがあり、なんとも見苦しい。ショートショートなのに苦痛のあまり最後まで見続けることができなかった作品があったのも事実。全体的にこのぶん投げたような完成度の低さは、予算の制約でもあったのだろうかと勘ぐらざるを得ない。漱石ファンの一人としては実に残念の一言。
蛇足だが、ベスト・ヒロインは緒川たまき。息が止まるほど綺麗で色気があった。西川美和の女性の撮り方、なんだろう。
- プロローグ・エピローグ
監督:清水厚
出演:戸田恵梨香(女学生)、藤田宗久
- 第一夜
監督:実相寺昭雄、脚本:久世光彦
出演:小泉今日子(ツグミ)、松尾スズキ(百輭)、寺田農、堀内正美
- 第二夜
監督:市川崑、脚本:柳谷治
出演:うじきつよし(男)、中村梅之助(和尚)
- 第三夜
監督・脚本:清水崇
出演:堀部圭亮(夏目漱石)、香椎由宇(夏目鏡子)、櫻井詩月(愛子)
- 第四夜
監督:清水厚、脚本:猪爪慎一
出演:山本耕史(夏目漱石)、菅野莉央(日向はるか)、品川徹、小関裕太、浅見千代子、市川夏江、渡辺悠、鶴屋紅子、佐久間なつみ、日笠山亜美
- 第五夜
監督・脚本:豊島圭介
出演:市川実日子(真砂子)、大倉孝二(庄太郎)、三浦誠己、辻修
- 第六夜
監督・脚本:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ(わたし)、TOZAWA(運慶)、石原良純
- 第七夜
監督:天野喜孝、河原真明
出演:sascha(ソウセキ(声))、秀島史香(ウツロ(声))
- 第八夜
監督:山下敦弘 脚本:長尾謙一郎
出演:藤岡弘、(夏目漱石、正造)山本浩司、大家由祐子、土屋匠、森康子
- 第九夜
監督・脚本:西川美和
出演:緒川たまき(母)、ピエール瀧(父)、渡邉奏人
- 第十夜