シャマラン監督の最新作『オールド』。
カリブ海のリゾートに旅行に行った家族が、宿泊先のホテルの支配人から”特別に”案内された秘境のビーチで奇怪な現象に巻き込まれる。
逃げられず電波も繋がらない場所で、「オールド=加齢」が加速し次々に悲劇が襲っていく。
ミステリアスな導入部、パニックを経て脱出を試みる中盤、そして決死の終盤・・・
緊張感を保ちながら説得力のある映像で「世にも奇妙な物語」を見せてくれる。
閉鎖空間で時間だけが早まっている異常な状況の中で、絶望に落ち込んだり、人間関係を見つめ直したりと、ヒューマンドラマも展開されていく。
社会との接点を持てない中で青春期が浪費されていく焦りは、コロナ禍での若者が自粛を余儀なくされる理不尽さを重なるように思えた。
普段は「人は誰もが老いてやがて死ぬ」という事実はあまり意識しないものだが、子供や若者のように特に時間の流れが早い人たちにとっては、不安や焦燥感や怒りは大人のそれとは比べ物にならないのだと考えさせられた。
映像的には、小さな子供だった登場人物が大人になっていく凝った描写も見所。シャマラン監督のカメオ出演も。
いわゆる傑作ではないし、賛否両論だと思うが、こういう奇妙な味わいを残す作品が好きな人にはハマるだろう。