B級娯楽大作、だがそれがいい〜『ゴジラvsコング』(2021年、アメリカ)

コロナ禍で公開延期となった『ゴジラvsコング』がようやく日本でも観られるようになったので、初日に足を運んできた。

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伏線や思想とはほぼ無縁なザ・エンタテインメント。

冒頭から軽快なテンポで話が進んでいき、登場する人物は多いが深い描写も巧みに避けられていて、細かいことを考える余地もなく、ひたすら怪獣アクションを楽しめる。

昨今は「長い映画」「考えさせられる映画」「ポリコレの自縛に陥る映画」が多い中、「いんだよ、細けえこたあ!」と言わんばかりの清々しいまのご都合主義とおおらかさ。

しかも2時間で終わる編集。

怪獣映画、SF映画が、カルト向け、マニア向け、評論家向けになっていく世相の中で、このシンプルさんは明らかにそうした趣向へのアンチテーゼだろう。

誤解を恐れずに言えば、「B級娯楽大作」の味わい。だが、それがいい

思えば、昭和の怪獣映画大ブームだって、別に「特撮マニア」ばかりが言っていたわけではなかったし、なんなら「特撮マニア」なんてクラスターは市民権を得ていなかったかもしれん。

そういう意味では、いわゆるライト層にアプローチするように撮られていると思う。

だから見る方も「ゴジラ強え!」「コング負けるな!」的なシンプルな見方で臨むのが正解だと思う。

もちろん、IMAX 3Dで。思わず体が動き出すこと2度。これは家のテレビでは絶対に味わえない体験。

キャスティングについては、小栗旬がハリウッド進出ということで注目だったが、渡辺謙真田広之とはまた違う軽やかなキャラクターで、笑いも取れていた。

これはこれで「ニンジャ」な旧来型のステレオタイプな日本人俳優像を打ち破るかもしれない。

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