millennium parade 3D Live 2020@東京国際フォーラム(ホールA)

先月のKing Gnu武道館ワンマンの感動も覚めやらぬうちに、millennium paradeのライブを観に東京国際フォーラムへ。

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僕にとっては、このミレパのライブが、今年の現場納め。


「3D Live」と銘打たれているだけあって、特製グッズの3Dメガネをかけての鑑賞。

OPは、『ジョーカー』のワンシーンのような<物語>で観客を世界に誘い込む。

メンバーを率いるように常田大希がステージに登場し「みんな立てる?」と促すと、場内はオルスタへ。

ツインドラムとベースの圧倒的なリズム隊が奏でる重低音の音圧。

そこにキーボード、ボーカル、ホーンが加わって、音の洪水、音の滝という感じ。

正面のスクリーンには、実写とCGを高次元で合成して3D動画にしたような映像が流れる。

幻覚のようでもあり、夢のようでもあり、まさに別の世界へとトリップするかのよう。

宇宙空間のようでもあり、過去や未来への時間旅行のようでもあり、自分の精神世界と向き合うようでもあり。

「ロック」というフォーマットには全然収まらず、クラシック、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロ、現代音楽など、様々なジャンルの音楽がそれこそトランスジャンルというか、ジャンルの垣根をあざ笑うかのように軽々と超えて演奏される。

ベルリオーズ幻想交響曲の「断頭台への行進」が流れたかと思えば、シャッフルするようなルバートのピアノソロが奏でられたり、King Gnuでおなじみの「Slumberland」が始まったり。

世界にも胸を張って発信できる東京の最先端が今ここにある、そんな感じ。

3D映像と分厚い編成の生演奏のコンビネーションは、僕自身も初めて体験したもの。

「バンドのライブにVJが加わった」とかそういうレベルではなく、現代美術館の前衛アートのインスタレーションのような、それを途方もなく大きなスケールの空間と迫力の音響と圧倒的な表現力で味わえた。

一般ウケするかどうかという点ではポピュラーとは対極にあるような表現だが、ポリコレやら何やらで「表現の自由」に窮屈さを感じる現代において、果敢に前衛を攻め続ける姿勢に感動さえ覚えた。

常田大希が才能であり、カリスマであるというのは今さら疑いようがないが、彼の表現が未来を切り開いていくことを確かに感じることができた75分だった。

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当然、綾野剛からもお花。

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来年2月にはアルバムも出るそう。


ミレパの表現は、ひとたび「生」で味わってしまうと、音だけでは全然物足りず、時に動画でさえも十分ではないように思える。

とはいえ、アルバムというまとまった形の作品でこそ見えてくる世界もまたあると思う。

来年の活躍を心待ちにしている。