昨年公開の『新聞記者』で日本アカデミー賞の最優秀作品を受賞した藤井直人の最新監督作品『宇宙でいちばんあかるい屋根』が封切になったので早速観に行ってきた。
シアターは新宿バルト9。
この日が初日とあって直前まで出演者によるトークショーが行われていた(そっちはチケット落選でいけず)。
主演は、この作品が映画初主演となる清原果耶。
映画初出演ではあるが、ドラマなどでの演技力は折り紙つき。
そして、14歳・中学三年生という思春期特有の孤独と不安をリアリティを演じきった。
スクリーンで大写しになっても全く破綻のない美しさ、そして清楚さ、あと強さ。
彼女を導く不思議な老女「星ばあ」は、少し前ならきっと樹木希林が演じたのではないかと想像するが、この作品では桃井かおりが不思議な存在感で忘れがたい印象を残す。飄々として浮世離れした雰囲気は、令和の日本映画で名バイプレイヤーになることを確信。
他の出演者も良くて、隣家の大学生を演じた伊藤健太郎の優しさ、同級生を演じた醍醐虎汰朗の鋭どさはまた違う作品でもっと見たいところ。
全編を通じて描かれる夜空と海の美しい情景は、思春期の少女の心象風景。
原作は少年少女向けのファンタジー作品であるが、少女がひと夏の経験を経て大人になるジュブナイルでもある。
そんな少女の成長を描く作品の中で、清原果耶の輝きは只者ではないと思わされた。
今後の日本映画界を担うであろう若き女優のスクリーンデビュー作としていま見るべき映画だと思う。