モトーラ世理奈の存在感が印象的〜『風の電話』(監督・諏訪敦彦、2020年、日本)

『風の電話』を観てきた。



www.kazenodenwa.com

東日本大震災で家族を失った少女が広島から岩手までを旅するロードムービー

遠く離れた親戚に引き取られていて、友人らしい友人もいなくて、周囲に心を閉ざして言葉少ない主人公が、故郷に向かう道の中で色々な人たちと出会い、時に心を通わせながら、自己を再発見して、恢復していく物語。

寡黙な彼女が、自宅の跡地で感情を爆発させたり、岩手の「風の電話」のボックスの中で「家族にしか言えない」内面を吐露する独白が圧巻。

ファッション/サブカル寄りイメージの強いモトーラ世理奈が、スクリーンで本格女優の片鱗を見せた。

脇を固める三浦正和、西島秀俊西田敏行らの超ベテラン俳優にも食われない「存在感」が強く印象に残る。

映画の作りとしては、時に平板であったり、トルコ人を探す謎のエピソードが挟まれたりと、とても洗練されているとは言い難いものの、モトーラ世理奈の魅力で引っ張っている作品と言っても過言ではない。

もっと別の作品で、色々な役を見せて欲しいと願わずにはいられない。

f:id:SHARP:20200205175712j:plain