sora tob sakana presents 天体の音楽会 vol.2@ Zepp Tokyo

「アイドルの範疇に収まらない」
「アイドルを超えた」
「もはやアーティスト」

かつてよく聞かれた言葉だが、アイドル音楽の領域がボーダーレスに拡大した現在はどうか。

もはや、「アイドル」も「バンド」も、音楽の”ジャンル”を表現するカテゴリーではなく、音楽表現を行うための”スタイル”を表現する程度の意味になっている。

そういう認識が特に”楽曲派”と呼ばれる音楽ファンを広がる中、”スタイル”の違いを軽々と跨いでいくイベント「天体の音楽会」の第二回が開催された。

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前回は中野サンプラザでの開催だったが、今回はZepp TOKYO

アイドルグループ・バンド・ソロシンガー7組が出演し、舞台転換ではピエール中野DE DE MOUSEのDJが会場を盛り上げると言う贅沢な趣向。

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パンダみっく(14:00-14:10)

5人のオリジナルメンバーのうち3人が卒業し、2人が新メンバーとして加わった新生パンダみっく。
オープニングアクトではあったが音楽の楽しさを全身で表現し、観客を巻き込んだ。

(セットリスト)

1 好きな曜日はxx
2 今夜がおわらない

PAELLAS(14:15-14:50)

シティポップス、ファンク、ソウルのフレイバーを巧みに取り込みながら奥行きのある幽玄なサウンドを聴かせるクールなバンド。
内省的な歌詞も良かった。

(セットリスト)

1 daydream boat
2 Echo
3 Shooting Star
4 Orange
5 Weight

YURiKA(15:10-15:35)

アニメ・ゲームのフィールドで活躍するソロシンガー。パワフルでエモーショナルなボーカルが印象的。
照井楽曲を女性ソロで歌うとこうなるのかという発見があった。ステンドグラスのような幾何学模様のVJも楽曲の世界観に合っていた。

(セットリスト)

1 Dive into the colours
2 鏡面の波
3 時のFoliage
4 Shiny Ray

JYOCHO(15:55-16:30)

洗練された複雑な構成と土着的な力強さを同時に感じさせるマスロックバンド。
Dr、G、B、Keyに女声ボーカルとフルートが対位法的に絡む美しさ。
オサカナのニューアルバムへの楽曲提供もあるということで親和性は抜群。

フィロソフィーのダンス(16:50-17:15)

ディスコファンクのアイドルグループとして、既に確固たるナンバー1のポジションを確保しているフィロのス。
楽曲の統一感、ボーカルとダンスのクオリティの高さに加えて、エンタテインメントとしてライブが楽しさに溢れている。強い。

(セットリスト)

1 イッツ・マイ・ターン
2 アイドル・フィロソフィー
3 ダンス・ファウンダー
4 ベスト・フォー
5 ライブ・ライフ

Tempalay(17:35-18:10)

サイケデリックだったり、ダウナーだったり、メロディアスだったりと予想のつかない展開で幻覚の中に深くトリップしていくよう。
どんな瞬間も音楽の持つ衝動的なパワーに溢れていて、音の洪水に包まれる感覚が病みつきになる。

(セットリスト)

1 誕生
2 素晴らしき世界
3 新世代
4 SONIC WAVE
5 テレパシー
6 Festival
7 どうしよう
8 革命前夜

sora tob sakana band set(18:35-19:15)

疾走するグルーブに分厚い音圧、そして情報量を増したVJ。
中盤の「広告の街」の幻想的な世界、初披露「WALK」の叙情的な演出も素晴らしかったが、終盤の「夜間飛行」〜「夜空を全部」が圧巻。
メンバー、バンド、映像、照明、観客の熱狂が一体となった総合芸術。
オサカナバンドは今日も、僕の観たいものと聴きたいものを惜しみなく与えてくれた。

(セットリスト)

0 whale song
1 New Stranger
2 秘密
3 silver
4 広告の街
5 WALK(初披露)
6 knock!knock!
7 夜間飛行
8 夜空を全部


と言うことで、オープニングアクトのパンダみっくからトリのオサカナバンドセットまで3時間15分のフェスを満喫した。

終わってから振り返ると、「天体の音楽会」というブランドの統一感を出そうとしているラインナップだったし、その試みは成功していると思う。

Zepp Tokyoも程よく埋まって、いま求められてるのはこういうのなんだよなと実感。

2名のDJについても、ピエール中野はみんな大好きポップス系、DE DE MOUSEはゴリゴリのハウス系と、それぞれの個性が際立っていて、ステージ転換の時間を楽しませてくれた。

「アイドル」が”ジャンル”としては意味を持たなくなっている今日、「アイドルフェス」という枠にはまらず、しっかりした世界観の音楽表現を行なっているアーティストを厳選したこういうフェスは、今後人気になっていくのではないかと思う。

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