ハコムスの「Respect for」公演、今回は斉藤由貴。
おニャン子クラブ、CoCo、チェキッ娘とは違ってご本人との共演歴はないものの、CDジャーナル6月号で「対談」して関係性を築いた後での初めてのRespect for公演である。
今日の入場特典CDは「ストローハットの夏想い」。
ジャケットは「MAY」をオマージュしたもので、再現度が高い。
そして、3月にハコムスを卒業した鉄戸美桜が卒業公演のOPムービーで聞かせたソロの「AXIA〜かなしいことり〜」がカップリングされている。
卒業メンバーのソロをCDにして来場特典にするのはあまり例がないが、「ハコムスの斉藤由貴カバーと言えば、鉄戸美桜」というくらい板についていたとも言える。
今日は「現体制のハコムスが斉藤由貴の世界観をどう表現するのか」そんな興味を抱きながら開演を待った。
斉藤由貴オマージュ衣装で登場するメンバー。
白や淡いピンクを中心にしたルーズなシルエットのワンピースやロングスカート。後れ毛を残して結わえた髪型。
オープニングは「少女時代」、自己紹介の後に「土曜日のタマネギ」。
この2曲はカバーアルバムにも収録されていて、安定したパフォーマンス。
次の「悲しみよこんにちは」は、撮影可能曲。
阿部かれんの清楚さが引き立つ。
座席の関係で全員並んだショットは撮れなかったが、ハコムスメンバーは皆ゆるふわな感じで、斉藤由貴感があった。
「5分で分かる斉藤由貴の歴史」コーナーでは、高校時代に母親が東宝シンデレラガールのオーディションに応募したところから始まり、あれよあれよという間にミスマガジン、CMデビュー、CDデビュー、TVドラマ主演、映画主演、新人賞獲得・・・などの文字通りの「シンデレラストーリー」が紹介された。
そしてユニット曲。
4期生の持ち歌である「かわいいあたし」を、吉田・寺島・塩野で。本来は戸羽のパートを吉田がカバー。こういうかわいい曲いいよね。
「自転車に乗って」は、ぷりんせす・れいんぼぅの井上・塩野ペア。これはめちゃめちゃハマってた。
斉藤由貴の「歌い上げない歌唱法」に今のハコムスで一番近いのは、実は井上姫月なんじゃないかと気付かされたのも大きな発見だった。
そして「いちご水のグラス」。
これは、ハコムス的には「卒業生と在校生」のデュエットソングなんだけれども、阿部かれんがソロで登場した瞬間に鳥肌が立った。
歌い出しから、魂のこもった歌唱で朗々と歌い上げ、もう涙で直視できなくらい。
在校生は、今日は星里奈。
鉄戸卒業後、「ハコムスの歌姫」のポジションを継いでいると言っても過言ではない。
そんな阿部と星の織りなすデュエットは、まるで「プレ卒業公演」のような趣があった。涙が止まらなかった。
ユニット曲コーナーの最後は、「AXIA〜かなしいことり〜」。
「彼氏がいながら他の男に身を委ねる女性」を描いた曲で、清純派アイドルには異色の曲だけれども、鉄戸が「歌いたい。歌わせてくれなかったら辞める」とプロデューサーに直訴してハコムスのレパートリーに加わったという「いわくつき」の曲。
「結局辞めてるじゃん」というのはおいておくとして、初披露時は鉄戸・神岡・我妻のトリオだった。
それが今は我妻桃実のソロ。
我妻の表現は、「かわいさ」と「強さ」の二面性を行き来するとてもドラマティックなもの。
この曲の主人公の「奔放なわがままさ」「相手を引き込むずるさ」の要素を鉄戸はすごく巧みに表現していたが、我妻はその辺の「魔性の女」感はごくごく少なめ。
そこは歌い手の個性というか持ち味だけれども、今日のぽにょからは「この曲を歌い継ぐ」という強い意志を感じることができた。
編曲面で言えば、この曲はAメロの伴奏が意味深で、1コーラス目はシンプルで心地よいが、2コーラス目で警告音のようなシンセが入り、3コーラス目にピアノの9度の不協和音が入り、直後に転調して、同じところに戻れないことが暗示される。
今日の我妻のステージも同じような<物語>が感じられた。
次は、待望の新カバー曲。
これは、CDジャーナルで本人から「歌ってほしい」と言われた「卒業」。
イントロからハコムスらしい演劇的な振り付けがふんだんに入り、しかも、阿部かれん卒業というタイミングでの披露となって、今日のクライマックスになった。
MCでは、
「4月の対談の時に斉藤由貴さんから「歌ってほしい。たとえば誰かが卒業する時に」と言われた」
「そのとき、阿部が卒業することはメンバーとスタッフしか知らなかった」
「でも、斉藤さんは阿部のことをまっすぐに見ていて、すごい人だと思った」
というエピソードが披露された。
最後は、夏の終わりを感じさせる「ストローハットの夏想い」。
一人ずつソロを歌いながら登場し、全員揃ってユニゾンをワンフレーズ歌った後、アウトロで一人ずつはけるというのがハコムスの演出だけれども、今日は星里奈がストローハットを被って登場し、最後の一人となって、椅子に帽子を置いてステージを去って行った。
Respect for 斉藤由貴公演、今のハコムスならではの表現に感動させられたし、特に阿部かれん卒業直前ということで、<物語>的な意味も加わって、ひときわエモーショナルなものになった。
行ってよかった、と思わされた。
物販では神保町タクトからの出張販売もあり。
当時の写真の撮り方を研究したくて「資料」を購入。
そして、全員握手と阿部かれんちゃんの15秒撮影へ。
『悲しみよこんにちは』の「きっと約束よ」の指切りのポーズで。
さて、何を約束しようか。
(セットリスト)
1 少女時代
MC
2 土曜日のタマネギ
3 悲しみよこんにちは
「5分で分かる斉藤由貴の歴史」
4 かわいいあたし(吉田・寺島・塩野)
5 自転車に乗って(井上・塩野)
6 いちご水のグラス(阿部・星)
7 AXIA〜かなしいことり〜(我妻)
MC
8 卒業(新カバー曲)
MC
9 ストローハットの夏想い