sora tob sakanaにとって3回目となるDMM VR THEATERでのFuture LIVE。チケットソールドアウト。
熱気の溢れるような会場にOPSEの「海に纏わる言葉」が流れ、VRの青白い映像が前方を包むとメンバーが登場。
衣装はアルバム「sora tob sakana」の時のもので、髪飾りを外したバージョン。
最初の曲は「クラウチングスタート」。
オサカナのメンバーを包むように、学校の校舎の光景や、キラキラの光の映像が流れる。
VRというよりは、3D風のVJという感じで、メンバーの生々しさというか実在感が希薄になり、まるで「美化された遠い記憶の中の少女」に見えてくる。
ノスタルジィを掻き立てるような「クラウチングスタート」にはふさわしい。
「夜空を全部」では、まるで無限に広がる大宇宙の遠く離れた星雲の中に入り込んで行くようなスケールをも感じさせて、幻想的なオサカナの世界観とこのVRの演出との間の親和性の高さを感じさせた。
「夏の扉」では、幼年期の終わりを感じさせるような喪失感を残して、メンバーが舞台からはける。
すると、ピアノ+シンセ+ノイズ+環境音のような音楽が流れ、舞台上には、モノクロの都市の風景や、フィルムのような淡い田園の風景が流れ出す。
まるで、現代美術館で展示されるインスタレーションのように。
見ていると「自分は何者なんだろう」「なぜここにいるんだろう」「これからどこに行くんだろう」など、根元的な問いが次々に浮かんでは消える。
これは総合芸術だ。
そう思わずにはいられなくなる・・・
なぜだか胸をかきむしりたくなるような、何かが込み上げるような衝動を覚える。
それが何かはわからない。
それがなぜかもわからない。
・・・と、そのうちに、音楽は少しずつ形を変え、聴いたことのある音色、音階に変わってく。
意識が少しずつ形を取り始める。
現実を認識し始める。
まるで、昏睡状態から覚めるように。
ふと、「誰かと会える」予感が押し寄せる。
「誰かに会いたい」という気持ちが噴水のように湧き上がる・・・
音楽はやがて聴き慣れた新OPSEとなり、聴衆からは押し殺したような「おお」という声が漏れる。
最新の衣装に身を包んだオサカナのメンバーがステージに現れる。
まばゆいばかりの光に包まて「Lightpool」が始まる。
「鋭角な日常」の情熱的な炎、「tokyo sinewave」の幾何学的模様の演出に身を委ねていると、予告MCもなく、初披露曲が始まった。
待望の「発見」。
これはなかなかの難曲のようで、メンバーがMCで「リハでは上手くいかなかったけれども、本番では上手くできた」と語る。
振り付けも今までのオサカナの曲にはない感じで、ステージ上で低いポジションをとったりと、演劇的な要素を多分に感じさせるものだった。
オルスタのフラットなライブハウスではそういう細かいニュアンスを大勢の人が鑑賞するのは難しいけれども、こういうシアターでの着席なら誰もが細部の表現をじっくりと味わうことができる。
ということで、このVRシアターのステージを狙いすましたような「発見」の初披露に思いがけず感動してしまった。
ライブの締めくくりは「夜間飛行」。
VRの演出とも合い間って、暗闇を切り裂いて飛んで行く飛行機の上にいるかのような、孤独と高揚を同時に味わうことができた。
終わってみれば、全16曲、実質的には“全2幕構成”。
「定期公演 ~月面の遊覧船 特別編」は、ソールドアウトの期待に応える素晴らしい公演だった。
終演後は、寺口夏花ちゃんと2ショットチェキへ。
今日の感想を話したりしながらサインをもらう。
俺を呼び捨てにするアイドルは寺口だけ(好き)
(セットリスト)
0 海に纏わる言葉
1 クラウチングスタート
2 Brand New Blue
3 帰り道のワンダー
MC
4 夜空を全部
5 蜃気楼の国
6 まぶしい
MC
7 Lighthouse
8 夏の扉
interlude〜新OPSE(衣装替え)
9 Lightpool
10 タイムマシンにさよなら
11 鋭角な日常
MC
12 silver
13 tokyo sinewave
14 発見(初披露)
MC
15 New Stranger
16 夜間飛行