ハコイリ♡ムスメ『青春の音符たち』発売記念 新旧楽曲試聴会@楽器カフェ

2月に発売されたハコイリ♡ムスメのファーストカバーアルバム「青春の音符たち〜Respect for 80's & 90's」。

ハコムスのカバーレパートリー100曲近くの中から、80年代・90年代のアイドルソングを12曲選んでアルバムにしたもの。

そのアルバムに関する試聴会が、神保町の楽器カフェで開かれた。

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出演は、

鈴木美紗乃(ハコイリ♡ムスメ プロデューサー)
ジェームズ・パンダJr(『青春の音符たち』サウンドプロデューサー)

そしてハコイリ♡ムスメから、

我妻桃実(第一部)
吉田万葉(第一部)

阿部かれん(第二部)
星里奈(第二部)

で、各回とも4名が登壇。

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加えて、オリジナルの楽曲と、今回制作したハコムスのカバー音源のハイレゾ版を聴き比べるということで、ラックスマンの小島氏も登場して、機材の解説や音源の再生を担う。

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フランス製のスピーカーは53万円、オーディオ系総額で200万円。

第一部(11:30〜)

第一部は前半の6曲を「Side A」として順に聴き比べてトーク

M-01「少女時代」(斉藤由貴

パンダ「80年代の特徴的な音(パーカッションのゲートリバーブなど)が使われていて、今回は制作環境で使っていたRoland INTEGRA-7が当時の音を再現するのに活躍した」
パンダ「ビクターで活躍された粟野敬三さんのいる北京のスタジオでマスタリングを行った」
パンダ「再現度を高めるという方針と、アルバムとしての統一感を持たせることを両立するのが難しくもあったが、楽しかった」
我妻「先日斉藤由貴さん本人と対談する機会があったが、オーラが凄かった。言葉の一つ一つに重みがあった」
鈴木「歌を歌うというっていうよりお芝居をしているという意識」

M-02「はんぶん不思議」(CoCo)

パンダ「よくできている曲。アイドルソングとして完璧」
鈴木「私がひねくれてるから、メジャーな曲はどうせ誰かがカバーするだろうと思って避けるけど、これは例外」
鈴木「(ハコムスの最初のオリジナル曲である)「微笑みと春のワンピース」を発注するときに、この曲を渡して依頼した」
我妻「阿部・鉄戸・星の3人のボーカルのバランスが良い。阿部はかわいく歌っていて、鉄戸・星は抑えている感じ」
吉田「(鉄戸卒業後は)歌割りが増えたので頑張っている」

M-03「アンブレラ・エンジェル」(おニャン子クラブ

鈴木「いい曲。おニャン子の曲だけれど、高井麻巳子さんの印象が強い。福井の田舎から上京してピンクの服を着て日傘を刺していた高井さんを秋元康さんが「アンブレラ・エンジェル」になぞらえた曲。あの二人の関係性は色々と言われるけれど、自分としては好き」
パンダ「スコアやデータは渡されず、オリジナル音源を聴いて、分解して音を再現して重ねていく作業。鈴木さんに何度もダメ出しされたが、音楽的な言葉でないので手探りの繰り返し。試行錯誤する中、当時の録音機材を再現したプラグインのシミュレーターを試したらこれがハマった」
吉田「この曲は歌のレコーディングで苦労した」
鈴木「純粋な心を持っている子にしか歌えない曲。歌がうまくなっていていろいろなテクニックを覚えていた吉田に「昔を思い出して」と言った」

M-04「ドタバタギャグの日曜日」(チェキッ娘

我妻「自由に歌って楽しい雰囲気を出そうとした」
鈴木「井上の「茶柱立ったしお塩もまいたし」のソロパートがいい意味で際立ってる」
吉田「ひるなはこの曲が好きでレコーディングも楽しみにしていたけど、前の日に喉の調子が悪くなって泣いていた」
パンダ「このアルバムで唯一原曲に近づけようとしなかった。オリジナルに異性の声が入る違和感をどうしたものかと思いつつ自分の声も入れたが、やめてよかったといま聴いて思った(笑)」
パンダ「自分は男性アイドルグループに女性が入るのが嫌なので、ハコムスのファンの人も男性要素が入るのは嫌だろうと想像した」
鈴木「私もそう思う。おじさんが入るのはギリOK」
我妻「リー先生がチェキッ娘が好きで、この曲も好きだから、頑張ってハコムスバージョンにしようと言ってこうなった」
鈴木「3期生が入ったときに、雰囲気を変えようと「ドタバタギャグの日曜日」「 モテ期のうた」を選び、オリジナルでは「乙女はびっくり箱」を歌った」
鈴木「鉄戸には「違う」「ハコムスじゃない」とも言われたが、自分はモーニング娘。で言えば「ピョコピョコウルトラ」みたいな感じにしたかった」

M-05「あのコによろしく」(ribbon

吉田「オリジナルは、飛行機が森の上を飛んでいる感じ。ハコムスのは海の上を滑っていく感じ」
パンダ「ぽにょにコーラスをたくさんやってもらった」
鈴木「歌い出しは寺島。寺島の声は夏に似合う。寺島と井上の声は夏向き」
鈴木「声質で言えば、戸羽は素晴らしいものを持っている。この先が楽しみ」
鈴木「アイドルの歌は音楽的な上手い下手とは関係ない」

M-06「眩しくて」(Qlair

吉田「この曲は跳ねてる。繋がってるけど跳ねてる感じ」
パンダ「よくできている曲」
鈴木「原曲を聴くと、いい曲を作ろうという魂がある。ハコムスのは「眩しくて(子供バージョン)」という感じ。「Qlairには到達していない、終了」というか」
パンダ「改めて聴き比べて「歌もっと頑張ろうよ」と思ってしまった」
我妻「カバーさせてもらっている以上そこまで到達できるようにもっと頑張りたい」

こんな感じかな。

明日披露されるハコムスの新曲「エトワールを夢みて」はジェームズ・パンダ・Jrさんの政策だそうで、sora tob sakanaにインスパイされた4分の7拍子だそう。楽しみになった。


終演後は、我妻・吉田コンビのチェキを撮って。

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MCとして各方面に気を配りつつ安定してイベントを回すぽにょと、独特の天才的な感覚で楽曲の世界観を捉える万葉。

楽しい時間だった。

第二部(15:30〜)

第二部は、鈴木・パンダはそのままで、ハコムスから阿部かれん・星里奈コンビが登場。

アルバム後半の6曲を「Side-B」として比較試聴。

M-07「約束のポニーテール」(三浦理恵子

星「オリジナル音源は、吐息まで聞こえて、本人が目の前にいるみたい」
阿部「三浦さんの声が特徴的。「全人類を落とすぞ」というくらい気合いを感じる」
パンダ「これ、根暗な女の当てつけの歌ですね」
星「劇団ハコムスで鉄戸さんが演じる女の人みたい」
阿部「あの役怖かった。美桜が歌ったら怖いかも」
パンダ「たまらないですね、待つ女(笑)」
鈴木「この曲は塩野のボーカルを撮り直した。録音している間にライブで演奏を重ね上手くなったので、それを残したかった」

M-08「土曜日のタマネギ」(斉藤由貴

星「聴かせる曲。斉藤由貴さんの声が繊細で、語尾も特徴的。不思議な雰囲気で、いい意味でつかみどころがない。自分で歌うときも透明感と言葉の重みを大事にするようにしている」
阿部「今のアイドルは「上に上に」という曲が多いけれど、これは異質。ハコムスが出る対バンでこれを歌うと世界観に引き込める」
パンダ「この曲をシングルカットするというのは力強い。いまでは考えられない」
鈴木「ハコムスがシングルにするのはアルバムの後ろの方に入ってそうな曲。いわゆるキラーチューンではない」
パンダ「コーラスは人材の層の厚い中国で人を集めた。コピー能力があり、レンジの大きいダイナミックス。他の曲の5倍くらいの制作費がかかった」
パンダ「音楽には、メンタル面と技術面がある。メンタル面で楽しくないと楽しい音楽は生まれない」

M-09「泣かないでエンジェル」(Qlair

星「情景を歌っているようで、心の中の感情を歌っている曲」
鈴木「ハコムスの「レモネード・キッス」はこの曲の前編というイメージ」
阿部「幼馴染を好きになって失恋するなんて、現実ではほとんどない。少女漫画の世界で、現実にはない。だからこそ曲になるとキラキラする。ありえない擬似体験というか」
鈴木「好き!みたいな曲は聞いてて楽しくない」
星「実らないからこそ夢心地でいられる」
鈴木「難しい曲。ハコムスで歌うのを聞いていて以前はひどいなあと思っていたのが、リリイベを重ねてちょっとできるようになったかも」
阿部「歌えるようになってもしばらくすると歌わなくなるのがハコムス。この曲は不協和音になりやすくて気が散ってしまう」
パンダ「冒頭のリードシンセの和音は当時のヤマハのEOSのプリセット音がベース。小室哲哉さんが使っていたやつ。だが、今のプリセット音で再現しても同じにはならない。XG音源で、波形を選んで、レゾナンス、カットオフをいじって似させている」

M-10「夏休みは終わらない」(おニャン子クラブ

鈴木「これもいい曲」
パンダ「(自分が作ったトラックはオリジナルと比べて)音がきれいで悔しい。鈴木さんには「もっと汚して」と言われ、オリジナルの粗さに近づけようとしたが、まだきれい」
鈴木「コーラスは我妻と星」
パンダ「オケを分解していく中で「古いラジオでは次の台風」の「ふう」のコーラスが他の箇所と違うのに気付いた。ああいうこそプロの技」
鈴木「間奏後のパートで永田ルリ子さんがいいパートを歌っている」

M-11「海へ行こう~Love Beach Love~」(チェキッ娘

鈴木「幸せな曲の中では唯一好き。1999年、2000年、イケイケのコギャルの無敵感がある。(元チェキッ娘の)下川さん小林さんをゲストに呼んでライブをやったけれども、女子高生として天下取ってるだけはあった」
阿部「(卒業した)内山さんすごいと思ったけど、上には上がいた」
パンダ「ミキシング段階でまとめたら、あまり「大勢感」が出ていなくて、データとして残っていた門前・内山のボーカルのデータを加えたらハマった。奇跡のコラボ。ハコムスオールスターズ」

M-12「なかよし」(上田愛美

鈴木「選曲は前のマネージャー。上田さんのソロもいいけれど、グループで歌わせてもらえてよかった」
鈴木「最初は歌詞がストレートすぎると思ったが、時間を経るにつれてメンバー同士の関係性の中で意味が生まれてきた。シンプルだけど誰にでも響く言葉」
パンダ「(東京女子流の)「おんなじキモチ」も同じで誰にでも響く。何かあったらここに帰って来ればいいと思わせる」
阿部「「迷ったことがあった時は」って歌い出しだけど、自分はいつも迷ってしまう(笑)」
鈴木「阿部の声はいい」
パンダ「ハコムスは音楽のレベルを上げていけるといい。基礎的なことは押さえた上で楽しさを伝えられるようになるといい」
星「いまワンマンの準備が大変だけど、ワンマンまでにまだまだやることがあると思う」

会場からの質問

Q1:選曲の背景は
A1:(鈴木)80年代・90年代ということでアイドリング!!!を外して、アーティストさんが被らないように。

Q2:「海へ行こう」では門前・内山の声が入っているが、神岡さんの声は?
A2:「少女時代」「夏休みは終わらない」に神岡さんの声が入っている。

Q3:クラウドファンディングで「哀愁のカルナバル」(河合その子)の音源製作予定だが、後半のコーラスは「シングル」「アルバム」 バージョンどっちになるのか?
A3:(バージョン違いがあるという認識なし)

こんな感じかな。

MCとして反射神経で色々なことを捌いていくかれんちゃん、自分の言葉で語ろうとする星里奈ちゃん。

良いコンビで、なんと予定を45分も押してイベント終了。


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かれんちゃん脚なが!




アイドルにこだわりを持つ鈴木さん、音楽にこだわりを持つパンダさん。

お二人の色々なやりとりがあってこそこの傑作が生まれたということがよくわかるイベントだった。

行けてよかった。


青春の音符たち~Respect for 80's&90's

青春の音符たち~Respect for 80's&90's