「スターウォーズ/最後のジェダイ」

(ネタバレあり)


スターウォーズ/最後のジェダイ」を観た。公開日の劇場はほぼ満員。

監督は前作のJ・J・エイブラムスからライアン・ジョンソンに変更。

前作が従来作を踏襲したプロットで軽妙にサーガを再生産したのに対して、今作はあえて従来作の再生産期待を裏切りつつ、新たな轍を切り開こうとする意欲を感じられる。

一方で、前半のテンポは悪く、終始重苦しい雰囲気が覆っていて、場面の切り替えもスムーズでないため、なかなか物語の中に入っていけない。

あたかも「ハリーポッター」シリーズの終盤のように、ゴールにたどり着く道筋さえ見えないフラストレーションを感じっぱなしになる。

ルークとレイの会話ももどかしいことこの上ないが、最終的には「禅」の思想と同じように、瞑想することで自分と宇宙のつながりを感じることで、フォースの本質を獲得することに成功する。

レイとレンのつながりも、善と悪の単純な二元論を否定するもので迂遠的だが、最終的には対話は決裂し、レイは光を、レンは闇を体現する存在となる。

終盤の30分のクライマックスの連続はさすがスターウォーズと唸らされるもので、特にルークの強さは圧倒的。60歳を優に超えるマーク・ハミルの立ち姿は美しく、このラストの戦闘場面を持って、ルークはこの作品に「ヒーロー」としての姿を永遠に刻んだと言えるだろう。前作のハンソロの最期とは違って何度でも見たくなる名場面。

今作では、アジア系女性が新たに中心メンバーに加わるが、一部で「天童よしみ」と言われるように、スターウォーズの世界観からするとやや異質。米国社会から見たアジア人っていうのはこういう感じなのかなという偏見も感じさせた。まあ、アジアマネーの取り込みというマーケティングの要請なんだろうけど、違和感の方が強かった。


「レイの出生の秘密は?」「レイとレンに血縁はあるのでは?」「スノークの秘密は?」とか前作の思わせぶりな要素をほぼ全部否定して終わった今作だが、最終作となる次作でレイとレンの対決がどのような形で行われ、どのような形で銀河に平和がもたらされるのか、続きが気になることには違いない。

そういう意味で、「次作への繋ぎ」という役割を果たした佳作ではあると思うが、傑作というべきレベルまではなっていない。70点。