塙真一 pixels ポートレートワークショップ(仕上げ術)に行ってきた

塙真一先生のポートレートワークショップ(仕上げ術)に行ってきた。

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モデル撮影はなく、撮影済みのデータをもとに、PCとプリンターでの「仕上げ」についてのワークフローを学ぶもの。


一部・基本編、二部・プリント編の二本立て。

参加者4−8人とごくごく少人数のワークショップで、これは得難い機会だった。

有料のワークショップなので内容の詳細は控えるが、概要を自分用の備忘録として記載。

基本編(11/11 13:00-14:30)

塙先生の使用環境について。
Brをビューワーとして利用、Psで現像。2画面で 元のJPEGと同時表示しながら現像。

PsのCamera RAWの上から順に操作。
明るさのところはちょっとトリッキー。実際には上から「白レベル→ハイライト→シャドウ→黒レベル」。
明瞭度を下げるのは一部でよく見るが、下げすぎると不自然になる。逆光の時は効果的。
彩度は「自然な彩度」で微調整する程度。
WB次第で露出の飛び具合も変わる。

カラーマネージメントは、自分の好みでいいが、sRGBを利用している。
理由は、多くのモニターで100%近く表示できるから。
Abobeの優位はエメラルドグリーンだが、ポートレートにはあまり関係ない。

RAW現像の際に、レイヤーをコピーして「スマートオブジェクトに変換」すると、フィルターの効果を後から修正できる。
camera RAWフィルター、円形フィルター、ぼかし(グラデーション)で操作。
ただし、現像後がベースなので極端なハイローは復元できない。

レイヤーでのマスクの処理は、ペンタブを使うと便利。範囲の指定、強弱の入力が簡単。

市販のフィルターでは、エイリアンスキンEXPOSURE X2 フィルターが良い。NYKフィルターは今は無料のはず。今のうちに取って置くと良い。

ネットにアップするときは、長辺を900ピクセルにしている。
これは、バッチ処理で「アクション、新規アクション作成、記録(録画ボタン)、サイズの変更、閉じる(録画ボタン終了))と登録しておくとワンクリック。

この後、実際の画像をもとにPsでの仕上げを実践。

感想としては、

・自分が独学で体得したワークフローは間違いはない
・一方でフィルターやマスクの使い方は目から鱗
・ただし、マウスでは操作煩雑で、ペンタブ欲しい

って感じ。

プリント編(11/12 15:30-19:20)

基本編への参加を前提にした講義から、参加者の作品をその場で修正してA4にプリントするところまでの長丁場。

まずは、カラープロファイルの説明。これも備忘録的に。

カメラのプロファイル、モニターのプロファイル、プリンターのプロファイルは全部別。

モニターのカラープロファイルは、スパイダー5を使って、光学的にキャリブレーションしている。
次に、プリンタープロファイル。これは用紙の特性も含めてのプロファイル。
PsでのRAWの画像プロファイルは、後から変えられるが、直近に設定したものを覚えている。
プリンターの方は、Psで「プリントセットアップ→PhotoShopによる設定→プリンタプロファイル」で設定。
用紙のプロファイルは汎用のものもあるが、用紙メーカーがWebでプロファルを無料配布しているのを利用すると良い。

マッチング方法は「相対的」か「知覚的」が良いが、自分は「相対的」をオススメ。
黒点の補正」についても、オンをオススメ。

「プリント設定」は、紙質、大きさ、フチあり・なしを選択。
ちなみに、「高精細」と「超高精細」は肉眼ではほとんど違いがわからない。自分でも写真展以外では高精細は使わない。

印刷時にある程度フチを作る方が好みなので、まずはフチなしで設定し、縮小率を微修正して適当なところを決める。

モデルの肌のアラを目立たなくするのは、クイックマスク(またはレイヤーマスク)で「明瞭度下げ」か「ぼかし」を使用。
あまり効果を高くしすぎると塗り絵みたいに不自然になる。多くの場合「明瞭度下げ」のマスクを重ねる方が自然(好み)。

こんな感じ。

ここからは、参加者が実際に撮った写真4枚のRAWを元に、仕上げのイメージを共有しながら、塙先生が加工していくターン。

僕は、先月のハコムスのバスツアーの時に江川海岸で撮った写真を持参。

元のJPEG撮って出しと仕上げ後の写真。


戸羽望実ちゃん(撮って出し)

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元画像は、傘の下の顔がちょっと暗めで、肌色も傘の色の影響を受けて赤っぽくなっている。

戸羽望実ちゃん(仕上げ後)

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顔と手の色かぶりを修正し、明るくしている。


吉田万葉ちゃん(撮って出し)

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雨天のため背景の発色が良くない。上の空間が大きい。

吉田万葉ちゃん(仕上げ後)

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マスキングを使って、人物部分と背景部分を別のパラメーターで現像。同時に上方をトリミング。

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他2点の作品についても色々と仕上げのテクニックを学んだ。

デジタルデータにおける後加工の重要性は今更言うまでもないけれど、撮影機材やPC環境に加えて、「撮りたいイメージ」「仕上げたいイメージ」が不可欠だと言うことに気付かされる。これは「センス」と言い換えてもいいかもしれない。

今回、他の参加者の作品を見ることでさらに勉強になったし、感性も刺激された。
これも、独学ではないワークショップ形式ならでは。


商業カメラ雑誌とかばかり読んでると、ともすると新製品への買い替えを中心とする機材のレベルアップにばかり意識が向きがちなんだけど、撮ってからの「仕上げ」の技術のスキルアップも写真の質を上げてくれるし、もっと言えば、撮る前のイメージの喚起のために、色々な芸術作品に触れることも大事なんだよね。

そんな感じの有意義なワークショプだった。

5年ぶりにお会いした塙先生もお元気そうで何より。