近年人気の伊藤若冲だが、今年は生誕300年ということで、大規模な展覧会が東京都美術館で開催されている。
ただでさえ人気の若冲なのに、NHKが連日のスペシャル番組で煽る煽る…これがメディアミックス営業というやつか。
おかげで平日にもかかわらず、チケット購入まで20分、チケット購入から入館まで70分、入館から展示室まで40分…気が遠くなるような待ち時間。
ようやく中に入って若冲の傑作とご対面!と思っていたら、見えるのは人垣ばかり。
これは美術鑑賞としてはなかなかハードな環境。
初期から晩年の作品までを多く展示していて、屏風絵を含めて圧巻の一言。
江戸や大阪の流行に流されるようなところはほとんどなく、京都ならではの控えめなセンスの良さを感じさせる。
浮かんだ言葉は「フリースタイル」。流派に囚われず、流行に流されず、自らの美意識に忠実に対象を捉え、時に茶目っ気を感じさせる画風。
いろいろな人の影響は受けているのだろうけれども、特に晩年の作風は誰にも似ていない。だから時代遅れにもならず、海外でも愛されるんだろう。
「70分待っても損はない」、と言いたいところだけど、中も混みすぎていて、結局図録でおさらいするしかなかった。
物販の列も凄くて、図録を買うにも一苦労だったよ。
この展示期間がわずか1カ月というのも混雑を助長しているようね。これだけの作品を一堂に集めたのだから仕方ないという事情も推察できるけど。
ということで、若冲好きなら許容できるかもしれないけど、「話題だから」というような理由で足を運ぶライトファンの人は覚悟がいる企画展だと思う。