西欧美術展において印象派の人気が根強いことは否定しないけれども、最近、ルネサンス期頃の作品が多く日本に来るようになった気がする。
いま東京都美術館ではボッティチェリ展、江戸東京博物館ではダ・ヴィンチ展、そして西洋美術館ではカラヴァッジョ展。流れがあるのかもしれない。
ということで、展覧会初日の今日、西洋美術館に足を運んできた。
(公式サイト):caravaggio.jp
ドラマティックなライティングという手法で有名な画家だが、気性の激しさが滲み出るような作品に目を奪われる。
優雅さとは対極にあるような苛烈な表現の「メデューサ」(盾)と、自身の悔悟を重ねたような初公開の「法悦のマグダラのマリア」が強く印象に残った。
常に刃物を持ち歩き、傷害事件ばかりか、遂に人をも殺めたカラヴァッジョ。
斬首をモチーフにした「メデューサ」に暴力衝動を感じることもできるし、自らの起こした殺人への悔悟と恩赦への願いを「法悦のマグダラのマリア」に見ることもできる。
キービジュアルとして使われている作品は、「果物籠を持つ少年」や「バッカス」(いずれも本人モデル)だけど、今回の展覧会の中では、世界初公開となる私蔵の「法悦のマグダラのマリア」の存在感が圧倒的。
見つめれば見つめるほど、画家の内面に入り込んでいくような作品だった。
カラヴァッジョ展は6月12日まで。