その胸に届くまで―ドロシー Winter Live Tour 2014 仙台

子供の頃テレビで
流れていた歌は
いつもキラキラと輝いていたの
ドロシーリトルハッピー「Singing」)

歌を届ける―ドロシーのメンバーがよく口にする言葉だ。いま、CDも売れず、テレビの音楽番組も少なくなっているこの時代に、歌を届けることは容易ではない、と思う。

ドロシーは12月24日発売のミニアルバム「circle of the world」を引っ提げて全国ツアー中だが、柏、名古屋、京都、大阪での公演を終えて、地元仙台に帰ってきた。いわば凱旋公演と言ってもいい。早坂香美も今日からツアーに合流。これで盛り上がらないわけがない。

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昼の部

ドロシーの仙台公演は格別だ。客層も女性や子供や若いファンが多く、まさに「ホーム」であるという雰囲気に満ちている。動員数の多さでは首都圏の大バコのライブに譲るかもしれないが、メンバーのリラックスした雰囲気や、会場の温かさという点で、一体感がある。

セットリストは、基本的にはこれまでの「昼の部」の公演とほぼ同じだが、ドロシー唯一のクリスマスソングである「ラスト・ウィッシュ〜同じ色のクリスマス」を披露。ステージの上で白い衣装をまとって光に包まれてクリスマスソングを歌うドロシーの姿はまるで天使のようで、その歌声は天上からの讃美歌のように響いた。これは、ドロシーメンバーからファンへの一足早いクリスマスプレゼント。その直後に歌われた「Life goes on」も、東北の人達に希望を届けるメッセージのように聞こえた。

そして、今日のテーマMCは「今年一番忘れたいこと」。

るーちゃん:いっぱいあるし、忘れたいし、話せないことばかり。でも、リハでスタッフを「先生!」と呼んだことかな。
麻里ちゃん:新幹線移動のときに時間ギリギリで急いでいたら、キャリーを車両と線路の間に挟んでしまった。
こうみん:名古屋公演の時に「2 the sky」のラップで盛り上がりすぎてこけた。立ち上がろうとしてまたこけた。お客さんが心配している顔が見えた。
佳奈ちゃん:ディズニーカバーの「アンダーザシー」を披露したときに、「ワイルドに」という歌詞に合わせてワイルドな振付けを見せたら、握手会でお客さんに「あれはダメです」と言われたこと。
みも:3月16日の仙台公演で麻里ちゃんとMCをしているときに昔のギャグをやったら会場中が静まりかえったこと

みものアレは…忘れてあげようと思う(笑)

他にも、冬の仙台と言えばコレという、光のページェントの話で盛り上がったり、「地元最高!」という言葉が飛び出したり、やはり仙台のドロシーには特別な感じがあった。

復活したこうみんは、いつも以上に元気でキラキラしていた。こうみんが落ちサビを歌う「Dear My Friend」で「たとえ離れていても心は同じだよ」と歌い上げるメンバーの声は僕の胸に突き刺さってきた。まるで、こうみんの復活や、ファンとの再会を喜ぶかのように。5人揃ったドロシーの無敵感は半端ない。

序盤の「未来への虹」「2 the sky」や終盤の「デモサヨナラ」「諦めないで」「恋は走りだした」などの盛り上る曲ではとことん盛り上がり、「永遠になれ」や「Winter blossom~冬の桜~」や「それは小さな空だった」や聴かせる曲ではじっくりと聴き入る。そんなファンに対して、最後に届けられた「Singing」こそ、いまのドロシーが抱いている「歌を届けたい」という強い想いが込められているようだった。

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(セットリスト)

1 永遠になれ
2 未来への虹
3 2 the sky
4 ストーリー
5 Breakin' Through
6 ナミダよりもずっと速く
7 週末だけのロミオとジュリエット
8 Winter blossom〜冬の桜〜
9 それは小さな空だった
10 set yourself free
11 恋をしてるのきっと
12 Dear My Friend
13 colorful life
14 ラスト・ウィッシュ〜同じ色のクリスマス
15 Life goes on
16 デモサヨナラ
17 諦めないで
18 恋は走りだした
19 Singing

夜の部

夜公園はドレッシーな衣裳に、ジュエリーのようなアクセサリー。メイクも髪型も大人っぽいし、同じ歌を歌っても、メンバーの表情は微笑みが少なく、挑発的な雰囲気。特に富永美杜は、完全に女優のようだ。

セトリはこれまでと変わらない。これは完成度が高くてマイナーチェンジをしにくいということもあるだろう。

ダンスMixを中心にノンストップで盛り上がるコンセプトだが、この中に昼公演と同じく「Singing」が入っていることの意味は重いと僕は思う。歌う楽曲が増えても、アレンジが変わっても、「歌を届けたい」というドロシーの基本姿勢がブレることはない。そう思わされる。

テーマMCは「今年一番止められなかったこと」。

るーちゃん:メンバーに頼り過ぎてるところ。髪型を麻里ちゃんに相談したり、ペットボトルのふたをあけてもらったり。
麻里ちゃん:ラブライブの「にっこにっこにー!」の矢澤にこちゃんにはまりすぎなこと。グッズをたくさん買ったんだけど、昔から好きなマクロスフロンティアのランカとシェリルに挟まれてポスターを貼る場所がない。
こうみん:嘘泣き。飼っているビーグル犬のチャオが噛んできたときに泣きまねをしているけど、それがやめられない
佳奈ちゃん:飲み物を飲むとき「ゴクッ」とノドを鳴らすこと(みもから「飲み物のCMのお偉いさん、お仕事を下さい」と会場にお願い)
みも:仙台に帰るとなかなか起きられないで、お母さんに脚を引っ張って起こされる

るーちゃんからすかさず「私は朝ごはんのメニューを言われると起きるよ!」とのツッコミがあり、秋元家の朝は相変わらず健康的だなと安心。みもは、みんなから「なんで起きられないの?」と言われると「私は夜型だから(キリッ)」と答える。続いて「夜何やってるの?」と突っ込まれると「お絵かきとかー、ゲームとかー、歌って曲作ったりとか」と釈明すると、会場から「オー?!」っという声が。いつかみもの作曲した歌を披露してほしいな、と思っていたら、「女の子は早く寝ましょうね。シンデレラタイムですよ」という感じになってMC終了。

後半の「ジャンプ!」のレゲエMixはだいぶ馴染んだ感じで新しい合いの手が入ってくるし、「nerve」は、前方中央でモッシュが起きるし、「シークレット」はバッキバキの低音ブーストでダンスフロアのようだし、ドロシーの新しい姿を見せるという点で、夜の部もここに至って最終完成形になったと言っていいだろう。

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1 恋をしてるのきっと(Mix)
2 GET YOU
3 My Darling
4 壊れちゃう 崩れちゃう
5 ASIAN STONE
6 Singing
7 Breakin' Through
8 インマイライフ・フォーマイライフ
9 keep on tryin'
10 ジャンプ!(ラテン風Mix)
11 Hey boy! Hey girl!
12 set yourself free(Mix)
13 STARTING OVER
14 恋は走りだした(Mix)
15 nerve(Mix)
16 HAPPY DAYS!(Mix)
17 シークレット
18 ストーリー(Mix)

そしてファイナルへ

昼と夜の二回に分けて行われてきたドロシーのWINTER TOUR 2014のも、残すところ25日の新宿BLAZEの追加公演と、30日の川崎CLUB CITTAのみ。

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新宿と川崎は夜のみになるので、昼夜を分けての二回公演はこの仙台が最後となった。

二回公演のコンセプトは、事前には詳細は示されていなかったが、初日の柏公演で「昼=オーソドックス」「夜=ノンストップダンス」ということが明らかになってから、公演を重ねて、その二面性の使い分けに磨きがかかってきたと思う。

残り2回、ドロシーはどのような姿を見せてくれるのか。いよいよ目が離せないなと思いつつ、光のページェントを見て、帰路についた。

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