こうみんの他にこうみんはいないードロシー Winter Live Tour 2014 京都

少人数固定ユニットとしてのドロシー

アイドルグループは大きく二つの種類に分けられる。大人数でメンバーの入れ替えのあるユニットと、少人数でメンバーの固定しているユニットだ。

後者は、結成当初などの入れ替えが例外的にあるにせよ、基本的には「替えのきかない」状況の中でチームワークを磨き、グループの物語を紡いでいく。

僕が魅力を感じるユニットはほぼこの後者のものに限られている。ドロシーもその中の一つだ。

少人数固定ユニットは<物語性>において魅力を持つものの、CDのプロモーションで散開戦術が取れないとか、メンバーが欠席したときの穴が目立つとか、デメリットもある。

今回、早坂香美がインフルエンザにかかって関西公演を欠席すると聞いたとき、僕はドロシーの最近の過密スケジュールを思い出しながら、少人数固定ユニットのリスクが顕在化したと思った。

早坂香美の不在は、今年2月22日に亀戸サンストリートで行われた「STARTING OVER」のリリイベ以来。あの時は、体調不良ではなかったのでそれほど深刻さはなかったが、今回は関西4公演をこうみんなしで乗り切らないといけないという切迫感のある状況。こうみんの体調回復を祈りつつ,さて、どうなるかと思いながら会場に向かった。

昼公演

京都MUSE四条河原町近くにあるライブハウス。立地、大きさとも良いハコ。
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まるでカフェのような看板。

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Overtureに続き、4人のドロシーがステージに登場。

ダンスのフォーメーションの美しい「永遠になれ」から。こうみんの不在を埋めようとするメンバーの気迫が伝わってくる。

続いて「未来への虹」。タオルを回して左右に大移動。冒頭から盛り上がっている。

セトリで言えば、次の曲はこうみんがリードラップを取る「2 the sky」のはずだが、大丈夫だろうかと心配していたら、白戸佳奈がラップを決める。これは胸が熱くならざるを得ない。

MCで自己紹介。そしてこうみん欠席のおわび。

続いて、「ストーリー」「Breakin' Through」「ナミダよりもずっと速く」「週末だけのロミオとジュリエット」「Winter blossom~冬の桜~」を連続で。

穴を埋めようというメンバーの気迫はすごいし、ボーカルもこうみんパートをスムーズにつないでいるが、それでも一人の不在がこんなに大きいとは。


ドロシーが、5人のダンスの様式美に則ったフォーメーションを練っていることが逆に浮かび上がる。

ここでテーマトーク。今日のテーマは「今年一番おいしかったもの」。食べ物を語らせたらドロシーの右に出るアイドルはいないと、期待が高まる。

るーちゃん「 昨日食べた京都でのすき焼き」
麻里ちゃん「前回のツアー後に家族で行ったお疲れさまイチゴ狩りのイチゴ」
佳奈ちゃん「駄菓子屋で買ったポテトフライ。いろんな味のを一種類ずつ大人買いしたけど、味の違いは分からなかった」
みも「ほうじ茶カステラ」

ここから「昨日清水寺を観光した」とか「 外国人に話しかけられてカタコトの日本語で会話した」というるーちゃんワールドに突入し、「日本はお酒が美味しいですねと言われたので、わたし18歳です!と返したら、ワオ!と言われた」とか。MCでは秋元瑠海無双だった。

後半は「それは小さな空だった」「set yourself free」「恋をしてるのきっと」「Dear My Friend」としっとりとしたドロシーを聴かせる。注目の「Dear My Friend」の落ちサビは麻里ちゃんが代役を果たして歌い上げた。

終盤のアゲ曲は、少し入れ替えがあり「Life goes on」「デモサヨナラ」「CLAP!CLAP!CLAP!」「諦めないで」「恋は走りだした」という流れ。

「諦めないで」の間奏のダンスソロではこうみんのいるべきセンターをぽっかりと空けていたが。これは「こうみんの代わりはいない」ということを示すメンバーの意思のように思えた。

最後に麻里ちゃんが「歌うこと」に思いを託すドロシーの決意を語って、「Singing」を聴かせ、昼公演は幕を閉じた。


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(昼公演セトリ)

1 永遠になれ
2 未来への虹
3 2 the sky
4 ストーリー
5 Breakin' Through
6 ナミダよりもずっと速く
7 週末だけのロミオとジュリエット
8 Winter blossom~冬の桜~
9 それは小さな空だった
10 set yourself free
11 恋をしてるのきっと
12 Dear My Friend
13 Life goes on
14 デモサヨナラ
15 CLAP!CLAP!CLAP!
16 諦めないで
17恋は走りだした
18 Singing

夜公演

テーマが「ミステリアス」と題された夜公演。紺の衣装が大人っぽさを醸し出す。

四つ打ちのOvertureからの「恋をしてるのきっと(Mix)」。富永美杜の挑発的な表情に撃ち抜かれる。

続いて「GET YOU」。こうみんのリードの代役はるーちゃん。堂々としたボーカルでフロアを沸かせた。

「My Darling」「壊れちゃう 崩れちゃう」とロックなドロシーを聴かせた後は、自己紹介を挟み、「ASIAN STONE」、そして、ニューアルバムからの「Singing」「Breakin' Through」「インマイライフ・フォーマイライフ」を連続で。

テーマトークは「今年一番びっくりしたこと」。

麻里ちゃん「海外でこうみんと部屋一緒が一緒になったときに、あのクールなうみんがクマのぬいぐるみを持ってきていたこと」
るーちゃん「プライベートで地元の行事にいったら、バイキングで麻里ちゃんがわたあめを作っていたこと」
佳奈ちゃん「ネットで手相を見ていたら、生命線が短かったけど、ラッキーM線が長かった。若いときに苦労して年取ったら成功するということみたい」
みも「夜中の2時にホテルのドアがトントンって鳴ってお化けかと思って無視してたら、ホテルの従業員だった。加湿器とシャワーのお湯に火災報知器が反応して飛んできたみたいだった」

みも、迷惑かけすぎ(笑) 手相の生命線の話でも、るーちゃんは「生命線が長い」と安定のネタを自分で振ったが、みもが「私、生命線がないんですよ!」とどうツッコミをしていいのかに困る反応をしたのに対して、るーちゃんは「運命は自分で変えるもの」と名言を吐いて、会場の拍手を誘った。

いよいよ後半はダンスMIX。「keep on tryin'(Mix)」が始まると、佳奈ちゃんが「みなさん手拍子をお願いします!」と煽る。ここからノンストップで「ジャンプ!(レゲエ風Mix)」「Hey boy! Hey girl!(Mix)」「set yourself free(Mix)」「STARTING OVER」「恋は走りだした(Mix)」「nerve(BiSMix)」「HAPPY DAYS!(Mix)」「シークレット」を。

ダンスMIXのセトリは初日と同じだが、ステージと観客との波長はだいぶ合ってきた印象。

「オリジナル改変は許せない」「これを楽しめないとは心が狭い」「アレンジを変えるにしてもこれはいかがか」などいろいろな意見があるが、僕自身は、新境地を開こうと挑戦を続けるドロシーの姿勢を大いに評価したいし、このアレンジも好きなので、昼公演との違いも含めてどっぷりと楽しんでいる。

最後にお礼とまた京都に期待という挨拶があり、「ストーリー(Mix)」でライブは終了。

アンコールはないが、退場間際にみもが「京都はやっぱりいいどすなあ」と京都弁で決めゼリフ。夜公演のみもは衣装とメイクの効果でだいぶお姉さんの雰囲気があるんだけど、この京都弁を披露したときの口角を上げた目を大きく開いたドヤ顔は、いつものみもって感じでかわいかった。


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(夜公演セトリ)

1 恋をしてるのきっと(Mix)
2 GET YOU
3 My Darling
4 壊れちゃう 崩れちゃう
5 ASIAN STONE
6 Singing
7 Breakin' Through
8 インマイライフ・フォーマイライフ
9 keep on tryin'(Mix)
10 ジャンプ!(レゲエ風Mix)
11 Hey boy! Hey girl!(Mix)
12 set yourself free(Mix)
13 STARTING OVER
14 恋は走りだした(Mix)
15 nerve(BiSMix)
16 HAPPY DAYS!(Mix)
17 シークレット
18 ストーリー(Mix)

早坂香美の不在は埋まったのか

では、早坂香美の不在は埋まったのか。自分で言うのも何だが、そもそもこういう問いを立てる時点で間違っている。埋まるわけがない。

あの自我を解放するようなダンス、温かみのあるボーカル、和むような空気を醸し出しつつも鋭いツッコミを見せるMC…こうみんがいないことで、僕はいつもよりずっと多くこうみんのことを考えていた。I Miss You、こうみん。


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5人揃ってこそのドロシー。そして、こうみんの他にこうみんはいない。そのことを痛いくらいに感じさせる時間だった。

だが、こうみんの不在を一丸となって埋めようとする4人のドロシーメンバーと、こうみんがそこにいるかのように応援するファンの姿は、いずれもぐっと来るものがあった。

こうみんのいない分、麻里ちゃんのダンス、るーちゃんのボーカル、みもの妖艶な表情を堪能していた。そして、一人少ない状態でステージをまとめた佳奈ちゃんはやはり凄いと思った。

4人のメンバーが150%の力を振り絞ってこうみんの不在をカバーしようとパフォーマンスをするステージが見られたのだから、個人的には京都まで来た甲斐は大いにあったと考える。

そして、仙台公演でこうみんが元気で戻ってきて、さらにパワーアップした「5人のドロシー」を見せてくれるのを楽しみにしている。


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