背伸びしなくちゃ見えないもの―ドロシーリトルハッピーPremium Live2014@Zepp DiverCity TOKYO

心配されるのはもううんざり
背伸びしなくちゃ見えないもの見たいよ
(ドロシーリトルハッピー「ジャンプ!」)

すごく知っているつもりなのに、実は何も知らなかった、もっともっとドロシーのことが知りたい―
結論から言えば、そんな気持ちを掻き立てられるライブだった。

ドロシー史上最大キャパのZepp DiverCity TOKYO。


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エントランスにはたくさんのお花が届いている。

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他にもまだまだたくさん。

新しくなったOPSEに続き、ステージの幕が引き下ろされて、ドロシー登場。2000人の観客から歓声が上がる。

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細かい白と黒のチェックをベースに、ピンクを差し色に入れた新衣裳。色調は同じだが一人ずつパターンが違っているタイプで、こうみんとるうちゃんはキュロットで他のメンバーはワンピース。

いきなりロック色の強い新曲「Breaking Thorough」を披露(曲名は後で紹介)。続いて、カラダの動く「CLAP!CLAP!CLAP!」で冒頭から盛り上る。頭上でキラキラのテープが炸裂して降ってくる。華やか。テープにはメンバーひとりずつのメッセージが書かれている。

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次に、また新曲の「In My Life, For My Life」を。じっくりと聴き入るファン。これはチャートを競うようなキャッチ―さ優先のものではなく、聴けば聴くほどじわじわと来るドロシーらしいもの。

そこから「どこか連れていって」「諦めないで」へ。間奏でのこうみんのダンスの気迫が凄い。そして「Life goes on」とフロアが盛り上がる曲が立て続けに展開される。

いくつかの楽曲には、CD音源のイントロの前に新しいフレーズが付加されていて、イントロだけではどの曲が始まるかわからない。これは新鮮味もあるし、楽しい。

MCで11月19日にミニアルバムをリリースするのと、12月に全国6箇所でツアーをすることの告知。佳奈ちゃんがさりげなくキレイに2回転ターンを決める。新曲のタイトル紹介。「新曲はこのあともまだやるかもしれません(笑)」と佳奈ちゃんが含みを残す。

ここからは、しっとりとした聴かせるナンバーへ。「風よはやく」から「ASIAN STONE」へ。ドロシー第三章のシングル曲を連続で。続いて、新曲の「週末だけのロミオとジュリエット」。ミュージカル風の振り付けと佳奈ちゃんのボーカルが印象に残る。

そこから「ストーリー」へ。こちらもミュージカル風の振り付けが随所に登場。

最後のサビが終わり、アウトロのところでメンバーが無言で舞台袖へ。ドラムとベースが強調されたアレンジのアウトロがループ。ダンスリミックスのようなビートがフロアを支配する。

入れ替わるようにバンドのメンバーが登場。予想通り、ドラム、ギター、ベース、キーボードの4人編成。録音音源からスイッチするように生楽器の音を響かせる。特にドラムとギターの音の迫力が凄い。

スイッチが入ったようにドラムがビートを奏でて、白と紺の衣装に着替えたドロシーのメンバーがステージに登場し、「ソウル17」を熱唱。これが生バンドの迫力か。欲を言えば、ドロシーのギターサウンドを再現するためには、リードとカッティングのツインギターで聴きたい。この曲に限らず。

続いて「COLB BLUE」へ。CD音源で聴きなれたバックトラックとはまた異なるアレンジ。メンバーのボーカルとバンド音のぶつかり合い、せめぎ合いが想像以上の気迫を生み出している。歌詞にあるようにまるで「樹海」の中から聞こえてくるような混沌とした音のうねり。

MC。「バンドセクションへのリクエストで、これはそうだよな、というものがあって全部やりたいと思う一方で、これをバンドでやったらどうなるんだろうという曲もあった」という佳奈ちゃんの前フリに続いて「STARTING OVER」を。

先入観を持った僕のような聴き手には、ストリングス(含むCメロのピチカート)なしにこの曲をやるのは冒険かとも思えたが、4人編成のバンドをバックにして高橋麻里のボーカルを聴かせることができることをこの日のドロシーは証明した。軽くアレンジの入った間奏のギターはかっこよかった。

続いてエアギターの振り付けから入る「恋をしてるのきっと」。そして、これもホーンセクションなしにやるのか?!とハラハラさせた「恋の花火」。個人的には、キーボードからホーンを補完するようなエモいプレイがあっても良かったような気もするが、あまりその辺の音が出ていなかった気がする。迫力あるギターとドラムの音に隠れたのかもしれない。

ここで、サプライズ企画。9月9日に18歳の誕生日を迎える秋元瑠海の生誕祭。バンドが「ハッピーバースデイ」のイントロを演奏し、その間に、ワゴンに載ったケーキと、花束と、アルバムが運ばれる。メンバーと観客が一緒に歌って祝福。るうなちゃんからはお礼と今後の抱負が述べられた。

和やかな雰囲気の中、リーダーの佳奈ちゃん自らがワゴンを片づけて、るうちゃんがリードボーカルを取るドロシーの最新キラーチューン「恋は走り出した」へ。ファンが用意したるうちゃんのメンバーカラーの紫のサイリウムが一斉に点灯する。

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綺麗な光景。るうちゃんも涙ぐみながらも気丈に歌い続ける。

そういえば、このセトリは6月21日の横浜定期公演の秋元瑠海プレゼンツのセットリスト「恋」三連発を彷彿とさせる。曲順は少し違うけれども、この辺もるうちゃんリスペクトなのかなと想像。

イントロのギターのリフが印象的な「colorful life」へ。みもの声、全然バンドに負けていない。この曲でもるうちゃんのソロパートで会場中からサイリウムが振られる。

「nerve」「2 the sky」と熱量の高い楽曲が続く。「2 the sky」のアウトロはいつも以上に引き伸ばされて、溜めてからのフィニッシュのキメがかっこいい。

盛り上がりが最高潮に達した後、メンバー一人一人の挨拶。

この夏いろんなステージに立たせていただいて、きょう大きなステージに立たせてもらえて、私は本当にステージに立って歌うことが大好きなんだなと"再実感"させてもらいました。
(高橋麻里)

皆さんに期待してもらえるようなドロシーにこれからもなっていきたいと思うので、応援お願いします!
(早坂香美)

ここまで来るのに時間がかかってしまったかもしれませんが、私たちは私たちの道を歩いて行きますので、長い道になると思いますがよろしくお願いします。
(秋元瑠海)

楽しみの中に不安もあって、胸が締め付けられる気持ちできょうを迎えましたが、今私の心の中は本当に"幸せ"で一杯です。ここにいる皆さんのおかげです。
(富永美杜)

この光景が信じらなくて、私たちだけのためにこれだけの方に来ていただけてうれしいです。生バンドセクションがあったり新曲を歌わせてもらったり、また一歩成長できたと思います。
(白戸佳奈)

そして、早くも最後の曲ということで「デモサヨナラ」を。\オレモー!/のコールが響いてホールが熱くなった。

アンコールでは「ジャンプ!」。この曲はこの日のバンドセクションのベストアクト。アウトロを引き延ばして一斉にジャンプするところが最高にエモ―ショナル。これぞ生バンドの醍醐味!

最後の最後にまた新曲「それは小さな空だった」が歌われる。ミドルテンポのバラードで、振付けもなく、5人が直立不動で歌い上げる姿に、ドロシーの世界観を見る思いがした。

茶番劇のような「サプライズ発表」もなく、話題作りのための「ゲスト登場」もなし。何の小細工もなく、ひたすらパフォーマンスを磨いて勝負するドロシー。

最後に歌われた曲も歌詞も曲調もじわじわと内面に染みこむようなもので、この日の勝負ライブに大きな余韻を残した。

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(この日の新衣装。公式より拝借)

2000人がドロシーを見に来たZepp DiverCity TOKYOでのワンマンライブという大舞台。

もちろん「ここまで来たか」という感慨もあり、MCでも感激を表していたけれども、セットリストには、ほとんど過去を振り返るようなところはなかった。

また、僕が抱いていた「こんな感じのライブになるんじゃないか」という想像はあっさりと覆されて、常に将来を見ていて、現状に甘んじることなく、さらに上を目指していることが明確になった。考えてみれば、その「未来志向」こそがドロシーのドロシーたる所以なんだろう。

「ジャンプ!」の歌詞にあるように、ドロシーはいつも「背伸びしなくちゃ見えないもの」を見ようとしてきている。そして、堅実に、愚直に背伸びを続けることで、確実に上に上にと登ってきている。

現状に甘んじることなく挑戦し続けているがゆえに、課題も見えてくる。今日のライブでも、生バンドを入れたことで、今までのドロシーでは考えられないような荒っぽさを垣間見る局面もあった。

だが、彼女達なら、きっとその課題を乗り越えるために、これからも自己研鑽を続けるだろうと信じられる。この反復運動、たゆまぬ積み重ねにこそ、ドロシーの本質がある。そこにまさに僕は惹かれている。

ドロシーは、シングルでもアルバムでも既にオリコンTOP入りを果たしており、不毛なチャート競争とは別のところで良いステージを見せる活動に重点を移しているように見える。今回、シングルでなく、ミニアルバムを出すのもその方向の表れだろう。

このライブで、12月に、柏、名古屋、京都、大阪、仙台、川崎で全国ツアーを行うことが発表された。良質なレパートリーをさらに増やして、表現の幅を広げ、ますます成長するドロシーを見るのがいまから楽しみ。


(セットリスト)

01:Breaking Through(新曲)
02:CLAP!CLAP!CLAP!
03:In My Life For My Life(新曲)
04:どこか連れていって
05:諦めないで
06:Life goes on
(MC)
07:風よはやく
08:ASIAN STONE
09:週末のだけロミオとジュリエット(新曲)
10:ストーリー
~生バンドセクション~
11:ソウル17
12:COLD BLUE
(MC)
13:STARTING OVER
14:恋をしてるの きっと
15:恋の花火
~秋元瑠海17歳生誕祭~
16:恋は走り出した
17:colorful life
18:nerve
19:2 the sky
(MC)
20:デモサヨナラ
En.
21:ジャンプ!
(MC)
22:それは小さな空だった(新曲)

ミニアルバムには、今日のライブを収録したバージョンも発売される。予約した特典として、みもの描いたイラストをゲット。みもの才能凄い。そして、どのメンバーも各自の個性をどんどん見せてもらいたいな。

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