ドロシーリトルハッピー東京定期公演@渋谷WWW

シュンペーターは言った。「新結合により非連続的な成長が起きる。この新結合が新しい軌道を確立するプロセスを『創造的破壊』と呼ぶ」と。 

ドロシーリトルハッピーは、自らが今日この創造的破壊のプロセスにあることを見せてくれた。寺嶋由芙というゲストを迎えての公演、メンバー個人によるセトリの決定、そして新旧曲やカヴァーソングの入り混じった表現などなど。

この過程は、「STARTING OVER」のツアーでまとまってきた「ドロシーの世界」を、9月6日のZepp DiverCity TOKYOで2,500人の観客に対して見せるために、自らの表現をさらに大きく高く、非連続に成長させるために必要なものだったと言える。必要なことを必要なときに、正しいことを正しいときにしているのが実にドロシーらしい。

さて、まずは昼の部。

渋谷WWWは人があふれるばかりの混雑。アコースティックギターが印象的な新しい出囃子に乗って登場したのは、ユフ♬マリ。「HOTARU」を披露し、二人の掛け合いの妙で楽しませてくれた。@JAM関連の告知MCの後、引っ込み、しばしの待ち時間の後、ドロシー登場。衣裳は、5/31の@JAMでお披露目となった新デザインのもの。

「風よはやく」から「どこか連れていって」とストーリー性のある展開の後、「My Darling」「COLD BLUE」「ソウル17」で沸きかえるセトリ。

自己紹介のMC。佳奈ちゃんが珍しく自分の番のときにコールの声を大きくして欲しいとアピール。これがきっかけで会場からの声援が大きくなる。続いて、今月と来月の東京・横浜・仙台の定期公演で昼夜の全6回について、各メンバーが一回ずつセトリを考えることにしたということが発表される。今回は早坂香美プレゼンツ。

「青い空」から、雨の日に聴きたくなる「部屋とパジャマと私」、そして聴く機会の少ない「トライアングルスクエア」へ。

MCでは「最近気になっているもの」というテーマで、こうみんが映画、かなちゃんが「ペッパーくん」(ロボット)、みもがインテリア、まりちゃんが『ラブライブ』、そして、オチ担当のるうなちゃんが天井!

「気になっているということは恋をしてるんですね、きっと」とこうみんがやや強引にまとめ(るうちゃんは天井に恋しているのか?w)、次の曲「恋をしてるの きっと」から「Life goes on」で観客も一緒に盛り上がる。

MCで来月香港の@JAMに行く話。香港では何が楽しみか、から、部屋割りの話。「まり+こうみん」「みも+るうな」の二人部屋と、佳奈ちゃんが一人部屋がほぼ決まったパターンらしい。

アジア興行ネタからの「sky traveler」「Asian Stone」という、これまた必然性のあるコンボ。さすがこうみさん分かってらっしゃる!というセトリ。

ここから畳みかけるように「恋は走りだした」「ストーリー」そして「未来への虹」。最後の一曲と言ったところで、「Hi So Jump!-Happy Dance Remix~」が紹介される。これは、5/25のソフマップのリクエストライブで、ファンからのリクエストに応じてその場で音源を探して急遽披露されたが、その時に「いつかちゃんと練習して見せたいです」と言っていた曲。まさかそれをこの2週間で仕上げてくるとは!

この曲では、改めて早坂香美のダンスの凄さを見せつけられた。途中で靴が脱げたが、すぐリカバーして踊り切る姿は、舞踏の化身のようだった。彼女なら、音がなくなった世界でも、音楽を感じさせるように踊り続けることができるだろうと思う。

(昼の部セットリスト)

ユフ♬マリ
01:HOTARU

ドロシー
01:風よはやく
02:どこか連れていって
03:My Darling
04:COLD BLUE
05:ソウル17
06:青い空
07:部屋とパジャマと私
08:トライアングルスクエア
09:恋をしてるの きっと
10:Life goes on
11:sky traveler
12:Asian Stone
13:恋は走りだした
14:ストーリー
15:未来への虹
16:Hi So Jump!-Happy Dance Remix-

終演後握手会に行き、物販でサイン入りTシャツ(3,000円)と、リストバンドとサイン入り生写真のセット(1,000円)を購入。お得感があった。

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続いて夜の部。

ソールドアウトしただけあって昼にも増して会場はパンパン。女性限定エリアもぎっしり。まずはゆっふぃーがソロで登場。ブルー系の衣装で「#ゆーふらいと」を。MCでドロシーを持ち上げつつ、持前のバランス感覚で観客を引き込むトーク。そして「ぜんぜん」で客席を温める。いや、それ以上のパフォーマンスだった。

出囃子に続いてドロシー登場。ツアーで見せた白系の衣装。

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(ドロシー公式より)


「Asian Stone」でしっとりと始まるが、「ストーリー」から「ソウル17」そして「ジャンプ!」と一気に盛り上がってきた。このセトリは誰が考えたんだろう?

と気にしていたら、MCになり、麻里ちゃんプレゼンツであることが明らかにされる。そしてテーマは「季節感」ということで、「秋→冬→春→夏」ということで行くと。ちなみにいまの4曲は秋、ということらしい。

ここから冬、ということで、「COLD BLUE」から「My Darling」「2 the sky」へ。この辺までが冬でいいのかな。

MCタイム。麻里ちゃんの考えたテーマMCは各自の特技。みもが絵を描くことということで、その場でスケッチブックにこうみんの顔を書き始める。こうみんは会場からの手拍子に合わせてオリジナルのダンスを披露。カッコイイ。るうちゃんは「何もない」と言っていたが照れながら「麻里ちゃんの自己紹介のマネ」を自分の名前バージョンで。佳奈ちゃんはハーモニカということで、パフィーの「これが私の生きる道」をメンバーが歌ったのに続いて間奏のハーモニカを。何の音合わせもしないのに、キーがばっちりで歌い始まったのには驚いた。ドロシーの絶対音感、凄いな。そして、麻里ちゃんはやっぱり歌ということで、アカペラで「見ていてエンジェル」のサビを。

その流れで、まさかの「見ていてエンジェル」。先月のソフマップのリクエストライブで見て感動したけど、今日も麻里ちゃんのボーカル、そして他のメンバーのダンスの表現力、本当に素晴らしかった。

そこから「明日は晴れるよ」、そして再びの「Hi So Jump!-Happy Dance Remix-」。だが、今度はハピダンのメンバーがダンサーとしてゲスト出演。あどけなさの残る表情、切れ味の鋭いダンス、そして、告知MCの堂々とした感じが強く印象に残った。

続いて、季節は夏へ。ディズニーのカヴァーアルバムで歌った「アンダー・ザ・シー」を初披露!ステージの上にディズニーリゾートのショーが出現したようだ。だが、ドロシーらしさは失われていない。いや、ますますはっきりとドロシーの世界が明らかになった。そして「sky traveler」から「どこか連れていって」と麻里ちゃんのボーカルが輝く曲へ。そして、ツアーでおなじみの「ドロシーの世界一周夏物語」。このあたり「夏休みの旅」を思わせるセトリ。そして、まさかの「飛び出せ!サマータイム」来た!

最後に「set yourself free」を歌って締めくくり。メンバーが退場すると、アンコールを求める声が次第に大きくなっていく。

アンコールの声援がピークになったところでドロシー登場。まず「sky traveler」を。こうみん生誕委員の人達が用意したオレンジのサイリウムで館内が染まる。しかし、この曲、聴けば聴くほどじわじわ良くなっていくな。

ここで早坂香美の18歳の生誕祭。ゆっふぃーとハピダンも登場し、こうみんをお祝い。「ハッピーバースデイ」の歌に合わせて、ファンが一斉に向日葵の造花の付いたサイリウムを振る。こうみんがバースデーケーキのキャンドルの炎を吹き消し、ファン一同から贈られたモザイク写真とメッセージのアルバムとテディベアが紹介される。

そして、なんと、ゆっふぃーからこうみんへはオリジナルの絵本。こうみんが恐竜好きというで主人公の名前がこうみん、他のメンバーも登場するという。。。

こうみんからお礼の言葉。「人に言われた言葉なんですけど、「これからは人の幸せのことだけを考えなさい」と。ファンの方をはじめ、たくさんの人を幸せにできるようにします。18歳の早坂香美もますます頑張っていきます」と。途中で感極まって泣きそうになり、観ている方ももらい泣きしそうになったけど、ちゃんと持ち直して言い切っていた。

最後に2曲目のアンコール。こうみんが落ちサビを歌う「Dear My Friend」。本当に感動的なステージ。

(夜の部セットリスト)

寺嶋由芙
01:#ゆーふらいと
02:ぜんぜん

ドロシー
01:Asian Stone
02:ストーリー
03:ソウル17
04:ジャンプ!
05:COLD BLUE
06:My Darling
07:2 the sky
08:見ていてエンジェル
09:明日は晴れるよ
10:Hi So Jump!-Happy Dance Remix-
11:アンダー・ザ・シー
12:sky traveler
13:どこか連れていって
14:ドロシーの世界一周夏物語
15:飛び出せ!サマータイム
16:set yourself free
(アンコール)
en1:sky traveler
en2:Dear My Friend

ということで、ドロシーの今回の定期公演には、実験要素も挑戦要素もあり、それでいながら全体として感動させられたり、驚かされたりして、満足度が高いライブだった。これをあと4回やるわけだから、ZeppDiverCityに向けてステージの幅が広がることは間違いないだろう。麻里ちゃんはMCで二回くらい「今年の夏は勝負なので」と言っていた。まさに9/6のZepp DiverCity TOKYOに向けた非連続な成長のための「創造的破壊」の過程にあると思える。「非連続」を別の言い方で言えば「ジャンプ」である。

最近、「ドロシーの世界観」という言葉には、賛否両論があるように聞こえてくる。でも、今日のセトリのように、新しい曲も古い曲もカヴァー曲もゲストも取り込んでドロシー色に染め上げるようなステージを見ると、「ドロシーの世界」に新たな可能性を感じずにはいられない。そんな一日だった。横浜と仙台の定期公演で何を見せてくれるのか、いまから楽しみだ。

おまけ。
5月に対バンしたTPDからお花が来ていた。赤いハートとかやるな。
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