『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』

『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』を観た。

高校部活モノ。このジャンルでは『ウォーターボーイズ』や『スイングガールズ』というもはや古典となりつつある名作があるが、本作もそのノリに近い。気持ちもバラバラで、全体としてレベルも低かった部員達が、心を一つにして目標に向かってチャレンジを成し遂げるという映画。

主演は成海璃子。強い信念を持っているのにぶっきらぼうな演技は彼女の得意とするところ。他の女子部員に桜庭ななみ山下リオ小島藤子高畑充希。それぞれに個性があり、見せ場があるが、個人のドラマを感じさせるほどの深みがなかった。それがあれば、クライマックスはもっと盛り上がっただろうと思う。

臨時教師として赴任し、顧問となる金子ノブアキも、生徒の指導という点では関わりが希薄。指導者という点では、竹中直人のような「怪しさ」も、綾瀬はるかのような「真摯さ」もなく、映画のイケメン担当として出演していますという感じがありあり。良い雰囲気を持っているのに実にもったいない使い方。

部活も、町起こしも、リアルなものとは感じられず、最後まで「プロットを消化する」的な雰囲気が拭えない。監督の猪股隆一のせいなのか、脚本の永田優子のせいなのか、よく分からないけれども。女子部員ばかりにスポットライトがあたっていて、男子部員は間抜けな三羽烏のよう。TV版では俳優の名前さえ出なかった。ここまでのひどい扱いは、かりに性別が逆なら「女性差別」と糾弾されかねないレベル。そういうジェンダー的な意図がなく、恋愛要素を排除することが製作者の狙いであれば、最初から女子校設定にしておいた方が潔かったのではないか。

共学の高校が舞台だがドラマの中心は女子部員なので『スイングガールズ』の雰囲気に近い。しかし、作品としては『スイングガールズ』に遠く及ばない。監督としての矢口史靖の力量の高さを改めて確認する結果となった。

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