玉石混交の「石」―『スター・トレックV 新たなる未知へ』

映画『スター・トレック』III,IVは、スポックを演じるレナード・ニモイが監督を務めた。それをカークが見過ごせないのがスタートレックらしいところ。ということで、カークを演じるウィリアム・シャトナーがメガフォンを取ったのがこの『スター・トレックV 新たなる未知へ』。

結論から言えば、名優必ずしも名監督ならず。ストーリーは散漫。特撮はお粗末。俳優陣は衰えを隠し切れない。そして、「新たなる未知」とされた謎も、拍子抜けするくらいの小物。「スタートレック史上最低」との烙印を押されても仕方のない出来。

最低映画に贈られる「ラジー賞」(ゴールデンラズベリー賞)の最低作品賞・最低監督賞・最低主演男優賞の3冠に輝いたという実績もあり、やはりこれは誰が見てもダメな映画。なぜオッサン3人がキャンプで歌を歌うのか、と思わずにはいられない。

まあ「神とは何か」的な深淵なテーマはスタートレックのお得意とするところだが、結局、この作品は思わせぶりであっただけで、映画としては詰めの甘いプロットと安っぽいCGのせいですべてがぶち壊し。真面目に考えただけ馬鹿を見てしまう。そして、なぜ熟女の裸踊りなのか、と思わずにはいられない。

原題には"THE FINAL FRONTIER"という副題が付けられて、本来であれば、年老いたカーク達の最後の見せ場として準備された作品だったが、あまりの出来の悪さゆえに、このメンバーでの完結は次作へと持ち越されることになった。

この玉石混交っぷりがスター・トレックなのかもしれない。

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