90年代、007はどうにも時代遅れになっていた。なぜか。
1991年 ソ連消滅
1995年 「007 ゴールデンアイ」(主演:ピアース・ブロスナン)
1996年 「ミッション・インポッシブル」(主演:トム・クルーズ)
1997年 「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」(主演:ピアース・ブロスナン)
1999年 「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」(主演:トム・クルーズ)
2000年 「M:I-2」(主演:トム・クルーズ)
2001年 9.11アメリカ同時多発テロ
2002年 「ボーン・アイデンティティー」(主演:マット・デイモン)
2002年 「007 ダイ・アナザー・デイ」(主演:ピアース・ブロスナン)
2003年 イラク戦争
2004年 「ボーン・スプレマシー」(主演:マット・デイモン)
2006年 サダム・フセイン死刑執行
「M:i:III」(主演:トム・クルーズ)
「007 カジノ・ロワイヤル」(主演:ダニエル・クレイグ)
2007年 「ボーン・アルティメイタム」(主演:マット・デイモン)
2008年 「007 慰めの報酬」(主演:ダニエル・クレイグ)
2011年 ウサーマ・ビン・ラーディン死亡
「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(主演:トム・クルーズ)
2012年 「ボーン・レガシー」(主演:ジェレミー・レナー )
「007 スカイフォール」(主演:ダニエル・クレイグ)
「冷戦が終わってスパイの敵がいなくなったから」という説明をよく聞く。確かに1991年にソ連は消滅しているが、上記のようにスパイ映画は続々と生み出されていて、必ずしもスパイ映画の人気が下火になったということはなさそうだ。
あるいは、主演のピアース・ブロスナンがややオールドファッションになっていたという意見もあるかもしれない。確かに、若い世代にとっては、トム・クルーズやマット・デイモンは「アリ」でも、ピアース・ブロスナンではちょっと厳しいと感じるだろう。
さて、そこで、ダニエル・クレイグのボンドだ。往年のような「大人の余裕」に替えて、「等身大のリアリティ」を備えている。鍛え抜かれた肉体はアクションシーンを説得力のあるものにしているし、CGに頼るようなハイテクは控えめにして、実際に手の届きそうな道具で勝負している。そして、相手は冷戦下の大国ではなく、不正な方法で資金を集めるテロリスト集団だ。
クレイグ版ボンドは、混沌とした世界の中で、強靭な肉体と不屈の精神を武器にして「見えない敵」に挑む21世紀型のヒーロー像を提示することに成功している。この「等身大のボンド」を描くにあたり、設定年令を若返らせたのにも必然性があったと言える。
美しいけれども毒のありそうなエヴァ・グリーンはボンドガールそのものであるし、ボンドの持つオメガシーマスターとアストンマーチンDBSは見間違いようもなくボンドの道具。その中で、これ見よがしにSONY関連製品ばかりが大写しになるのがやや興ざめではあった。
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