ポートレート専科2012@渋谷ルデコ

渋谷ルデコで開催中の「ポートレート専科2012」へ。

公式サイト:ポートレート専科 --

観賞を始めてまず思ったのは、作品だけでなく展示にも個性が強く現れていること。作品のプリント素材や、並べ方等も写真家によって全く違う。どのフォトグラファーも個性と主張を感じさせるが、特に心を惹かれた方々は以下の通り。

自然の中の女の子。壁面に大小さまざまなサイズのフォトが敷き詰められていて全体として一枚の大きな作品を構成。カット数の多さにもかかわらずモデルの雰囲気や色調が合っていて、しっかりとした統一感を持つ。PCのソフト上では複数の写真を自動的にレイアウトしてくれるものもあるが、リアルの展示で一枚一枚のプリントを組み合わせているのは圧巻。

  • 草野宗則さん(3-F)

幻想的な世界観。現像ソフトや画像加工ソフトで徹底的に磨き上げられたであろう作品は、写真というよりも、まるで精密な絵画のよう。観るものの足を止めるインパクトと、いつまで眺めていても飽きないという奥の深さをともに持ち合わせている作品。

  • 後由佳さん(2-D)

日常を優しい目線で切り取ったかのような作品。しかし、切り取られている世界は、空気まで封じ込めたように生き生きとしている。このような写真に出会うと、「ピントガー」とか「構図ガー」とかそういうものに縛られるよりも、ずっと大事なことがあることに改めて気付かされる。

最後に、2階に在廊されていたせいいちさん(時岡誠一郎さん)に挨拶し、ご自身の作品の解説を受けるという僥倖を得た。せいいちさんの組写真も「ポートレート」というカテゴリの広さを思わせるものだったが、「音」とか「動き」を感じさせる不思議な力があった。特に、仄暗い闇の中にスポットライトを当てられているように浮き上がる被写体に、まるで「ライブの写真」のような躍動感を感じさせられた。

以上、全体的な感想としては、「ポートレート」というジャンルを狭い「様式美」に押し込めることなく、もっと自由に、もっと貪欲に、自分の表現を追求していきたい、と。改めて刺激を受けた。