神前暁。1976年生。京大工学部卒。MONACA所属。
…とか書くよりも『ハルヒ』や『らきすた』方面ということで有名なのだろうけど。彼の楽曲で自分が好きなものを5位から1位まで勝手にランキング。
自分にとっての備忘録みたいなもの。
哀愁を帯びるが力強いイントロで始まる。Aメロ・Bメロはマイナーだが、サビでメジャーに転じて一気に伸びやかに。ホーンセクションがサビを盛り上げる。
和風テイストの使い方とか、サビでの転調とか、『サクラ大戦』の「檄!帝国華撃団」にインスパイアされたことは明らかだが、作品の個性も上手く確立している。
歌手は、早見沙織、井上麻里奈、花澤香菜、遠藤綾の4人だが、早見と井上の圧倒的な歌唱力を最大限に引き出す楽曲。
「マダダーレモー」などと茶化してはいけない。
- 4位「READY!!」(『アイドルマスター』OP主題歌)
いきなりドラムなしでサビから始まる印象的な構成。アニメ・ゲーム音楽の王道となる打ちこみ系の伴奏だが、ボーカルや間奏の楽器の旋律は昭和アイドルソングの伝統の延長上に位置。
それでも「懐かしさ」が「古臭さ」につながらないのは、時々コードをひねっているから。たとえば、Aメロの2回目への繰り返しに行く直前や、2回目からBメロにつながるところ。
グループの全員のボーカルがいっせいにユニゾンで入るサビと、Aメロ・Bメロのように小グループパートで回すパートの使い分けで緩急をコントロール。
そして、2回目のサビの直前の「イェーイ!」の入り方とか、ヲタ臭を感じさせないぎりぎりのところでサビを一気に盛り上げる。3次元でこんな曲を歌うアイドルグループがいたら絶対応援する。
- 3位「Morning Arch」(『Aチャンネル』OP主題歌)
朝の眩しさを思い出させるようなギターリフが耳に残るメジャーコードのシンプルなイントロから、すっと素直にAメロへ。
Bメロで加速し、ちょっとした置換コードを挟みつつ、たたみかけるようにメジャーセブンスでサビに突入。
ギター+ベース+ドラム+ピアノ中心のシンプルなロック系アレンジだが、サビで静かに入ってくるストリングスが美しい。
あとフルコーラスで聞くと、ギターソロが滅茶苦茶格好いい。
- 2位「恋愛サーキュレーション」(『化物語(なでこスネイク)』OP主題歌)
『セキレイ』のOPは早見・井上の歌唱力を引き出したが、花澤香菜には別のジャンルの曲がもっと合っていると神前は考えたに違いない。
その答が音程のないラップなんだろう。このように歌い手の個性を考えて楽曲を提供するというのは、往年の筒美京平のようだ。
ふわっとした声質にあわせたふわっとしたアレンジ。その上に早口言葉のようなラップ。サビで「ふわふわり…」とシンプルな歌詞とメロディーを聴かせる。
まるで良質のフレンチ・ロリータ・ポップスのよう。打ちこみ中心だが、高音・低音の両方でブラスが入ってくるところが特徴的。疲れているときに聴くとまじで癒される。
- 1位「motto☆派手にね!」(『かんなぎ』OP主題歌)
自分の中では不動の一位。80年代アイドルテイスト、というか、鼻にかかったボーカル、母性本能を感じさせる歌詞、筒美京平風のブラス、スラップベースのドンシャリサウンド、どうみても中山美穂です、本当に(ry
「派ー手ーだーねー」と伸ばして歌う本家に対して、サビで「地っ味っだっねっ」とスタッカートで歌わせるのは、パクリではなく明らかにオマージュでありリスペクト、日本の古い言い方をすれば「返歌」。
だが、決して昭和の歌に聞こえないのは、随所に入っているコードの捻りのおかげで、これは「READY!!」にも通じる神前流テクニック。まあ、捻っているところのコード展開は、両方の曲でほとんど同じだけどね。
サビの2回目の繰り返しで入ってくるストリングスがボーカルとの対位ですごく耳にひっかかる。良い意味で。神前の曲としてもベスト。戸松遥の曲としてもPVのかわいさと合わせて自分の中では永遠のベストであり続けると思う。
ということで、これからも神前暁の作品に期待。というか、とりあえず、レーベル横断でアルバムを出してほしいな。