21世紀クオリティの映像ー『スター・ウォーズ』BD(4)(EpisodeI『ファントム・メナス』)

BD化された『スター・ウォーズ』鑑賞もいよいよ新三部作へ。ということで『ファントム・メナス』を観た。以下一応ネタバレ。

映像は、はっきりと旧三部作と別次元の映像の精細さ。1999年公開作品なので区分としては20世紀に属するのだが、同じ頃に公開された『マトリックス』や『アイズ・ワイド・シャット』等の他作品のBDと比べても、はっきりとクリアで別格のディテール感がある。その点で、『ファントムメナス』は、21世紀クオリティを先取りしていたと言える。

宇宙空間や戦闘の場面はもちろん、個人的に目を見張ったのは、アミダラ王女のさまざまな衣装。東洋風の奇抜なデザインや色彩の派手さに目を奪われがちだが、精細な映像のおかげで、非常に凝った生地で作られているのがはっきりと分かる。メイクやヘアも手に取るようだ。

ただ、全体としてはあまりにクリアすぎて、異星人やメカが多数出ている場面では、ゲームやアニメのように見えてしまうきらいもある。たとえば、ジャージャーが率いる軍隊がドロイドと戦う場面や、アナキンがポッドレースで激走している場面などは、カメラの動きのスピード感といい、エンジンのサラウンドの効果音といい、旧三部作と比べると突出した迫力がある。一方で、どこか「よく出来たゲーム」のような感じも拭えない。この「現実感」と「仮想空間」のバランスを、もっと高次元で実現してほしいというは、高望みなのかもしれないが。

次に音声。DTSーHD6.1Chというスペックからの期待に違わぬ臨場感あるサウンド。この作品最大の見所であるクワイ・ガン&オビ・ワンとダース・モールの死闘の場面では、ライトセイバーの唸る音が迫力満点。人物の声、効果音、環境音、BGMのどれもがくっきりと分離していて、サラウンドで高次元の臨場感をもたらす。家で視聴しているとは思えないくらいの緊張感。野太い迫力と繊細なディテールを高い次元で両立しているのは、やはりBDならではだと思う。

最後に、作品として見ると、EpisodeIV『新たなる希望』と同様、「辺境の地に暮らす少年が、才能を見いだされ、緒戦において目覚ましい成果を挙げて表彰される」という構造。見る側としては「なぜルークはジェダイになって善を為したのに、アナキンはジェダイを裏切ってダークサイドに堕ちたのか」という疑問を持ちながら見ていくわけだが、アナキン少年にはそのような陰はまだはっきりとは見てとれない。

「Chosen one=選ばれしもの」と言われながらも、結局は救世主になれなかったアナキンがダークサイドに向かう兆しを確かめるには、次の『クローンの攻撃』に進むしかないということだろう。

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