ウィリアム・ブレイクとの邂逅

9ヶ月前、僕はこう書いた。

僕は明日から、ロンドンに行ってきます。ギャラリーでウィリアム・ブレイクの作品を見る時間まではなさそうですけど。
蘇る記憶〜『さよならもいわずに』 - Sharpのアンシャープ日記

予想通り、2月の渡英時にウィリアム・ブレイクの作品を観ることは叶わなかった。だが、まさか年内に東京で鑑賞する機会に恵まれるとは。人はいつどこで幸運に巡り会うか分からない。

今回、国立西洋美術館に足を運ぶ機会があり、『ヨブ記』や『ダンテ』のための挿し絵として、ウィリアム・ブレイクが世に出した作品を観た。

ウィリアム・ブレイク版画展:ウィリアム・ブレイク版画展|国立西洋美術館

幻想的、としかいいようがない。神とか悪魔とか、彼の頭の中にしかないイメージを、ここまで具体的に示すことができるというその想像力にまずは脱帽。そして、その想像の世界が、細部まで緻密でいながら、構成にも破綻のないことに驚く。一体、どうしたら、このような神秘的な世界を思い描くことができて、それを具体的な形にして示すことができるのかと。

ウィリアム・ブレイクは言った。一粒の砂に世界全体を、一時間に永遠を見るのだと。なるほど。こうして彼の版画を観ることで、初めて彼の詩を理解することができたような気がする。そして、この詩を教えてくれた今は亡き先生に、改めて感謝したい気持ちになった。

To see a World in a Grain of Sand
And a Heaven in a Wild Flower,
Hold Infinity in the palm of your hand
And Eternity in an hour.

あれから20年以上。紅葉する葉のひとひらから、季節を知るだけではなく、自分の命の儚さを悟ることができるようになった。そして、過ごす時間を大切にしている。そんなことを先生に伝えたい。

ウィリアム・ブレイク展はゴヤ展と同時開催中。ゴヤ展の感想についてはまた機会を改めて。