あさのますみ『ひだまりゼリー』

声優・浅野真澄、というべきか、児童作家・あさのますみというべきか。角川文庫から新刊『ひだまりゼリー』が出た。

正直に言おう。僕はますみんに好感を持っている。文学少女がそのまま大きくなったような佇まいも、秋田美人な色白なところも、そしてイタさと隣り合わせの暴走気味なキャラも。

こんな贔屓目を別にしても、『ひだまりゼリー』は読みがいのあるエッセイだ。

どのエッセイにも嘘のないであろう彼女の思いが書かれていて心を打つ。『祖父との思い出』や『おばあちゃんの約束』などの家族愛モノは本当に泣けてしまう。だがそれだけではない。失恋で闇に溺れそうな夜を描いた『濁流の泳ぎ方』は、まるで短編小説のような作品だった。こういう内面描写をもっと読みたいと思わされた。

豊かな感受性を持ち、多方面での表現力と表現欲を持っている浅野真澄/あさのますみをこれからも支援したい。

ひだまりゼリー  (角川文庫)

ひだまりゼリー  (角川文庫)