どこまでも自分に嘘をつかない―『にこたま(3)』

これまでの伏線が徐々に回収されていく巻。以下ネタバレ。

にこたま(3) (モーニングKC)

にこたま(3) (モーニングKC)

あっちゃんの手術、高野さんの退職。いずれも決してハッピーなイベントではない。だが、現実から逃れるわけにはいかない。一人、コーヘーだけがフラフラしているように思える。というか、見ていられない。

第14話であっちゃんが友達と日帰り温泉から帰ってくるときのモノローグ。

わたしたちの中の
よからぬものが

泡といっしょに

ちょっとはじけて消えてたら
いいな

「ちょっとはじけて消えた気がした」でも「ちょっとははじけて消えたのだろうか」でもない。どこまでも自分に嘘をつかず現実を直視しながら、それでいて希望を捨てないあっちゃん。この「いいな」に渡辺ペコの作品の凄さが現れていると思う。