TV版と違和感ない出来―コミック『魔法少女まどか☆マギカ(1)』

早くも2011年ナンバーワンアニメの呼び声も高い『魔法少女まどか☆マギカ』だが、完結まであと2話を残してTV放送休止、BD/DVD延期という事態。もちろん東北関東大地震の影響もあるが、シャフトの製作遅延…ゴホンゴホンゲフッ…何でもない。

ということで、圧倒的に不足がちなまどマギ成分の補完のためにコミック版『魔法少女まどか☆マギカ』を買った。一巻あたり4話の収録で3巻完結。しかし、一巻690円って高いな、芳文社。『けいおん!』でオタ向けビジネスの味をしめたか。

魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

内容は、TV版と同一の原作に基づいてコミカライズされている。その意味で、原作に忠実。ハノカゲによる作画も破綻なく、個性的なキャラの描写も申し分ない。第1巻は「第1話 夢の中で逢った、ような…」「第2話 それはとっても嬉しいなって」「第3話 もう何も怖くない」「第4話 奇跡も、魔法もあるんだよ」を収録。

だが、実際にはTV版と同時並行で描かれているせいか、細部の演出は異なっている。キュゥべえの口が動いていてTV版よりもかわいいとか、マミさん死亡の場面でぷらーんとはならないとか(首はないけれども)。

人気ラノベのコミカライズにはがっかりするような出来のものがあり、アニメ版とのストーリーの相違が気になるような作品もあるが、これは違う。TV版を見ている人なら、このコミックを読むことで、謎を追究したり、感動を反芻したりできるはず。1話、2話あたりを見逃した人が補完するのもいいかもしれない。

だが、このTV版を知らない人がこのコミックから入るとどうだろうか。『まどか☆マギカ』アニメ版では、劇団イヌカレーによる異空間設計や、梶浦由記による音楽が、独特の世界観を演出することに大いに寄与している。そういう魅力を味わうことなくコミックだけで済ませてしまうことはお勧めできない。コミックで入った人は、何とか機会を作ってTV版を観てほしい、そしてまたコミックに戻ってほしい、かな。

表紙カバーを外すと『魔法少女マミ☆マギカ』の宣伝が。こういう同人誌っぽいノリっていいよね。ハノカゲの描くマミさんがこれまたかわいいんだ。

2月から3ヶ月連続刊行中。第2巻の感想は追ってインプレ予定。しかし、最終巻は予定通り4月12日に刊行されるのだろうか。アニメ版の放送が遅延している中で。それだけが不安要因。