羽川派なら『猫物語(黒)』買うよな。で、早速読んだ。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『化物語』でも仄めかされていたあのゴールデンウィークの出来事。阿良々木と羽川の間に起きた事件の詳細。羽川の生い立ち。彼女の家。そしてなぜ二人は付き合わなかったのか、などなど。内容的には想像通りという以上のものではないけれど、羽川派の必携アイテム、いや、必読書。
そして、西尾維新はまた新たな表現を手に入れた。彼の小説で初めてアニメ化された『化物語』がヒットしたことで、そのこと自体をネタにするという荒業を披露。しかも、時系列的には『化物語』の前に起きる話なのに。この調子でいけばアニメ『化物語』をネタにして関連作品をどんどん書けそうだ、と思ったら、
- 猫物語(白)(つばさタイガー)…2010年10月
- 傾物語(まよいキョンシー)…2010年12月
- 花物語(するがデビル)…2011年3月
- 囮物語(なでこメデューサ)…2011年6月
- 鬼物語(しのぶタイム)…2011年9月
- 恋物語(ひたぎエンド)…2011年12月
という脅威の刊行ペース。「傾」「花」「囮」は「化」を含んでいる字ばかり。相変わらずのおふざけ。
しかし、原作がアニメ化された世界を知っている主人公が、前日譚でそのことを語るっていうのはすごい構造だ。なでこメデューサというよりも、むしろあららぎメビウス。いや、むしろクラインの壷。外部が内部に。そして、内部が外部に。
きっと「傾」「花」「囮」「鬼」「恋」もアニメ化され(『傷物語』のアニメ化も発表された!)、そのアニメ化をなんとなく知っている阿良々木が活躍する別の原作が…という合わせ鏡のような自己言及が無限に続く構造。エッシャーのだまし絵。トリックアートとか流行ってるしな。