クロマグロ禁輸否決

マグロ価格の波乱要因となっていたワシントン条約会議だが、クロマグロ禁輸案はEU案、モナコ案とも否決された。この手の話は、科学的に根拠が乏しかったり、経済的合理性がなかったりしても、往々にして政治の力学で決まってしまいがちだ。そういう舞台で日本は正しいことを主張しても支持を得られないということもあったが、今回は政治的に上手に動いたと思う。今回の日本政府の働きはもっと評価されるべき。

クロマグロ禁輸否決、途上国など日本支持 ワシントン条約会議

【ドーハ=藤田剛】野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約締約国会議は18日、カタールの首都ドーハで開いている委員会で大西洋・地中海産のクロマグロ(本マグロ)の禁輸案を否決した。欧米主導の規制強化に反発する発展途上国や漁業国が禁輸に反対し、採決で3分の2以上の賛成を得られなかった。25日の全体会合で投票結果が承認されれば、日本はこれまで通り漁獲や輸入を続けることができる。

委員会は輸出入の禁止や規制の対象となる動植物を記載した「付属書」の改定を討議した。クロマグロの即時禁輸案を提出したモナコは「資源量が8割以上減少し、絶滅の危機にある」と強調。欧州連合(EU)は猶予期間付きの禁輸案を正式に提示した。

一方、日本は「漁業を続けながら資源を回復させることが重要」と主張し、禁輸反対を表明。カナダ、チリ、韓国、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)、チュニジアセネガルなども同調した。リビアも禁輸に反対した上で採決を求めた。EU案は賛成43票、反対72票、モナコ案は賛成20票、反対68票で、ともに否決された。
日本経済新聞