良質の原作を蹂躙するドラマやアニメが少なくないなかで、ここまで志村貴子ワールドの雰囲気を再現してくれたことは、もう奇跡だと言っていいと思う。多少ネタバレ気味に書くと、クリスマスイヴのエンディングはアニメのオリジナル。でも、とってつけたようなところは全くなくて、あくまで「青い花」の世界。ああ、ハッピーエンディングでよかった。
脚本も作画も音楽も演出も、どれも『青い花』に対する作り手の「この世界観を大事にする」という愛情が感じられた。そして、儚げな美しさを湛えたオープニングは、空気公団のピュアな楽曲ともども将来にわたって伝説化するだろう。挿入された空気公団の『悲しみ知らん顔』はサプライズだったこともあって、体が震えた。
最後に声優陣。ふみちゃんに高部あいを投入したのは大正解だったといえる。ブログの感想を見る限り、初回では賛否両論だったが、回が進むにつれて賛成派の方が圧倒したのではないだろうか。いまでは、コミックを開いても、高部あいの声でしか聴こえない。あとは、井汲さんの持つ純真さと複雑さの両方の要素を表現した堀江由衣も良かった。
ありがとう『青い花』。第二期の企画も持ち上がったりするかもしれないが、個人的にはこのままプリザーブドフラワーにしてもいいと思う。
- アーティスト: 空気公団,山崎ゆかり,窪田渡
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ちなみに「エフ」vol.59「青い花 トリビュート」はファン必読(「必携」とまでは言わない)。松苗あけみ、沙村広明、オノ・ナツメ、古屋兎丸を始め33名の豪華執筆陣(名前を挙げた作家は個人的な趣味)が描くイラストは圧巻。