中国は「北朝鮮への圧力に慎重」ではない

どうして中国がいつまでも北朝鮮をかばうなどと決めつけるのか。核実験で国際世論は決定的になったというのに。日本のマスコミよりも、中国政府の方がよっぽど情勢分析をしっかりとしているし、発言にも含蓄があるし、狡猾なほどに賢い。

中国の楊外相は「圧力だけでは十分ではない」と言っているのだ。力を加えることは前提。ただ、闇雲に正義の力を加えても逆に「窮鼠、猫を噛む」のようにかえって暴発を誘いかねない。だから、こちらでコントロールできる逃げ道を作っておいてそこに追い込んで料理するというシナリオを作るのだ。中国は兵法の国である。それを「圧力に慎重」とはいかにも日本的な発想に過ぎる。

マスコミの教養の欠如を嘆いても仕方ない。忙しいのだろうから不勉強も許そう。だが、下らない先入観をもって要人の発言を曲解するのはやめてほしい。このような報道は当の北朝鮮を喜ばすだけだ。

「制裁だけで問題解決できず」 中国外相、北朝鮮への圧力に慎重

中曽根弘文外相は2日、中国の楊潔チ外相と北朝鮮の核実験実施に関して約30分間、電話で協議した。中曽根外相は国連安全保障理事会での制裁措置を盛り込んだ決議の早期採択に向けた連携を要請。楊外相は「安保理決議と制裁だけでは問題は解決できない」と述べ、圧力強化による問題解決に慎重な姿勢を示した。

中曽根外相は協議で「日中は強い安保理決議を迅速に採択することが重要との基本的な考えで一致していると理解している」と発言。楊外相は「中国側の立場は非常にはっきりしており、北朝鮮の核実験実施には断固反対だ」と応じた。

安保理決議の内容を巡っては中曽根外相は制裁措置を念頭に「強力な決議」を求めたが、楊外相は「安保理が適度な反応をし、バランスの取れた決議を採択することに賛成する」と指摘。「圧力を加えるとともに北朝鮮を交渉に引き戻す必要がある」と語った。

日本経済新聞