制服大好き

1993年に制服を廃止した高校が、2011年度の新入生から制服を導入することになったという報道があった。志願者離れに歯止めをかけるためだという。

そもそも廃止時の理由は書いていない。だが「制服を廃止すれば自由な校風になる」ということはない。「自由な校風だから制服を廃止する」ということはあったとしても。むしろ、「お揃いのアイテムにより結束を固める」という道を塞いでしまえば、「校風」あるいは「学校の個性」と呼びたい何かですら、もともと形がないものだけに、一層あやふやになってしまう恐れがある。

今回の制服復活に際しても、関係者は教育上の理念について強い主張をした形跡は窺われない。学校側は「志願者離れに歯止めをかける」と、もっぱら人気回復を強調している。そこには当然「管理強化」という動機はあるはずだ。表には出さないにしても。だが、制服を復活させてどういう教育をするのかについては全く語っていない。

一連の流れを報道するマスコミ(ここでは読売新聞)も、なぜかそこには突っ込まない。「経済的にはどうか」「デザインはどう決めるか」そして「この高校の人気が復活するのか」とそればかり。これが意図的なら、やはりマスコミは批判精神を失い体制に加担しているとしか言えない。そうでなく、意図的でないなら、まったくお目出たいとしかいいようがない。馬鹿か、と。

デザインは目下大人気の『けいおん!』の「桜が丘女子校」(添付画像)を参考にすればいいではないか!…と、そうではなくて。いや、なんだか、自分の高校時代を思い出して、つい熱くなってしまった。

「自由過ぎて」私服不人気…千葉県立小金高、制服再導入へ

千葉県松戸市の県立小金高校(堀誠校長)が、志願者離れに歯止めをかけようと、これまで認めていた私服通学を廃止し、制服着用に切り替える。

2011年度の新入生から導入する。近年、特に女子生徒の間で「制服人気」が高まっていることを踏まえたもので、学校改革の一環として方針を打ち出した。

この方針は昨年末、周辺中学などに通知され、今春の入試では定員が今の280人になった05年度以降、最も多い計600人が受験。一定の手応えを得たという。

同校はもともと制服だったが、生徒らの希望などを受けて1993年度から服装を自由化し、これが大きな特色の一つになっていた。県教委によると、県立全日制で私服通学の高校は現在、同校のほかには東葛飾高(柏市)1校しかない。

ところが近年、小金高は受験倍率が低下傾向をたどり、04年度には学力検査入試で1・15倍と「定員割れを心配するレベル」(本城学教頭)まで低下。危機感を募らせ、05年度から教職員が毎年100校以上、県外も含めた周辺の中学校や学習塾を訪れて、どうすれば人気回復が図れるか、意見を求めた。

その中で、同校が着目したのは「今の中学生は私服より制服を好む。制服がない学校は敬遠される」との指摘だった。

学園紛争があった1960〜70年代を中心に、「自由」を求める気風から、全国的に私服を認める高校が増えたが、近年は「制服回帰」が進んでいるとされる。中学・高校の事情に詳しい出版社「声の教育社」によると、「私立などで制服をモデルチェンジすると受験者が増える傾向があり、制服が学校選びに影響を与えている。首都圏では高校の90%以上が制服で、増加傾向にある」という。

学習塾「スクールマインズ初石校」(流山市)の田代徳昭校長は「女子を中心に、最近は制服で高校を選ぶ子も珍しくないし、制服を歓迎する親も多い」と話す。

小金高では、「制服再導入」の先例として、埼玉県立越ヶ谷高校を視察。人気低下に悩む伝統校という「同じ悩み」を抱えていたが、03年度に制服を導入してからは状況が好転し、今春の入試では、受験倍率が埼玉県東部で1位。「“自由過ぎる”としてあまり来てくれなかった地元の中学からも、生徒が来るようになった」(中山長年・越ヶ谷高教頭)という。

こうした状況を踏まえ、小金高では江川豊・前校長を中心に制服導入の方針を打ち出し、昨年10月、生徒や保護者に説明。生徒からは「私服だからこその小金高。個性がなくなる」という反対意見も多かったが、保護者側からは「経済的な理由で制服がいい」「制服化でエネルギーを勉強に向けてほしい」などと大方が理解を示したという。現在、教員、生徒双方が参加する制服検討委員会で、基本的なデザインなどを考案中だ。

同校では最近、制服への思い入れから“なんちゃって制服”と称し、制服のような服装で登下校する女子生徒も増えているという。検討委に参加する生徒会長の亀田奈央子さん(3年)は「自主の校風を残した上で、多くの人に好かれる学校にしていきたい」と話していた。

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