あんた日本相撲協会の何なのさ

大麻で逮捕された若麒麟に対し、日本相撲協会は引退届を受理せずに「解雇」処分としたが、この解雇処分が軽すぎるとの日本中大合唱。ああ、やはりここは「空気」が支配する国、日本だ。

解雇が軽すぎるという人いわく「退職金が払われるから」と。しかし、そういう批判をする人が退職金を払うわけではない。相手が公務員なら文句を言うのはまだ分かる。国民の税金で支払われるから。国民は利害関係者=ステークホルダーとして、税金の使い道に注文を付けることができる。公的資金を投入している企業・団体の場合も同様。だが、日本国民の大部分は日本相撲協会の利害関係者ではない。日本相撲協会がどのようにお金を使おうと、外野の立場以上にはなりえないのだ。

また別の人いわく「民間企業では考えられない」と。当たり前だ。日本相撲協会は民間企業ではない。民間企業は、従業員をクビにしても国内労働市場からの補充を比較的容易に行えるだろう。だが、相撲はそうではない。現に、横綱を含めて外国人を受け入れてなんとか成立させているではないか。そのような独特の論理と力学を持つ組織が、どうして人事処分で民間企業と同じ目線を持つ必要があろう。

もしそのような日本相撲協会のやり方が気に入らないのであれば、事は簡単だ。相撲とは関わらなければいい。お金を落とさなければいいのだ。そうすれば「非常識な団体」は自然淘汰される。たとえ完全消滅しないまでも、メジャーな存在ではなくなる。TV中継もなくなるかもしれないし、もしかしたら「国技」を自称することもできなくなるかもしれない。

「相撲がそこまで堕落するのは困る」というのであれば、日本相撲協会なりに自分のお金をしっかりと投じて、きちんと利害関係者となった上で「日本の相撲を良くする」という志の実現に向けて動けばいい。それが責任のある態度だと思う。僕自身は、相撲の何の期待も抱いていないし、日本相撲協会が独特な判断基準を持ち続けていることもよく分かっているので、いまさらどうにも思わないけれども。