『柴田元幸 ハイブ・リット』(5)

精巧な工芸品のように美しい言葉が絶妙の配置で組み上げられた短編。ストーリー自体は、子供達が雪だるまを作るところから始まるのだが、テクニックを競うように芸術が発展していくさまと、パラダイムの転換が突如として起こるさまが、いかにも現実の世界に対する皮肉めいていて面白い。

ラスト近くで、白一色の世界が、カラフルな世界に転じるのが圧巻。朗読も前半は抑制されているのだが、終盤で一気にたたみかけるようにドラマティックになるのが、いかにも巧者なミルハウザーらしい。

柴田元幸ハイブ・リット

柴田元幸ハイブ・リット