死刑判決後、遺族に朝日新聞が聞いたこと

光市の母子殺害事件の差戻し控訴審で、被告に死刑判決が下った。

判決後の記者会見を記事で読んで「この質問は変だ」と思ったので、いろいろと調べたのだが、質問をした記者は朝日新聞だった。以下抜粋。

朝日新聞:この判決で死刑に対するハードルが下がった事に対してどう思いますか。今後、少年の死刑判決が続くと思いますか。

本村洋さん:そもそも、死刑に対するハードルと考えることがおかしい。
日本の法律は1人でも人を殺めたら死刑を科すことができる。それは法律じゃない、勝手に作った司法の慣例です。
今回、最も尊うべきは、過去の判例にとらわれず、個別の事案をきちんと審査して、それが死刑に値するかどうかということを的確に判断したことです。
今までの裁判であれば、18歳と30日、死者は2名、無期で決まり、それに合わせて判決文を書いていくのが当たり前だったと思います。
そこを今回、乗り越えたことが非常に重要でありますし、裁判員制度の前にこういった画期的な判例が出たことが重要だと思いますし、もっと言えば過去の判例にとらわれず、それぞれ個別の事案を審査し、その世情に合った判決を出す風土が生まれることを切望します。

まず聞いている内容があまりに頭が悪すぎる。自らの稚拙な意見をあたかも事実であるかのように主張して、それについてどう思うかと聞いている。そして、被害者に対して「あなたのせいで、未来の少年の死刑を増やすことになったんですよ」と非難しているようでとても感じが悪い。家族二人を殺された人聞に非難めいたことを言うというのは礼儀としてもまるでなっていない。

この質問を一蹴しつつ、より見識の高い意見を開陳した本村さんは実に立派だ。奥さんと子供を殺された被害者という立場を超えて素晴らしい返答だと思う。質問した朝日新聞の記者だけでなく、周囲で取材していた他のマスコミや、記事を読んだ人の多くが感銘を受けたのではないか。

それにしても政治・国際・経済はおろか、朝日は社会も駄目だ。この記者の個人が不勉強だというのではなく、きっとこの記者にこういう質問をさせている組織がどうしようもないのだろう。何百人のブロガーが同じような記事をエントリーするだろうが、私にとっても朝日の駄目さを改めて感じた出来事だった。