一期生を描き切らない理由〜『GUNSLINGER GIRL(8)』

ガンスリンガーガール』の第8巻を読んだ。予想通り、ペトラ(ペトルーシュカ)とサンドラ(アレッサンドラ)の「大人」のドラマが展開。あれ、「GIRL」はどこに行った?しかも、サンドラの過去の話まで遡っていくとは…

GUNSLINGER GIRL 8

GUNSLINGER GIRL 8

ほとんど忘れ去られた一期生。もはやアンジェリカ同様、ヘンリエッタも含めて「プロトタイプ」扱いなのか?申し訳程度に出てくるけど、明らかに顔が変わってしまっている。ヘンリエッタなんかはまだ変化の少ない方だけど、おい、ジョゼ!その髪型はなんだ?

相田裕ほど頭のいい漫画家が、一期生を描き切らないままでに、何の考えもなく二期生に焦点を当てているとは思えない。また、中盤で明らかになったジョゼの苦悩を事実上放置したままに、二期生の担当官=フラテッロの描写に入り込むということもありえない。

普通なら第一期生のドラマを終わらせてから、二期に入るのだが、何人かは死ぬかもしれないということで、大人の事情編集部の意向がこれを許さなかったのかもしれない。

しかし、一期生と対照的な二期生を描くことで、相田裕はきっとスケールの大きな群像劇を展開しようとしているのだろう。その終盤では、ヘンリエッタの運命はより悲劇的になるだろうし、ジョゼの味わう苦悩はより絶望的なものになるのであろう。そう信じたい。

もし、作者がそれを裏切るようなことがあったら、僕は「GUNSRINGER GIRL Season I」の最終話をどこかで発表したい。だいたいあらすじは固まっているし。まあ、そんなもの読みたい人いないだろうけど。